わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

策源地 地震で言えば 震源か (山口県山口市 フランシスコ・サビエル記念聖堂 水彩スケッチ)


2017年11月

山口市に来ました。山口に来る前にJR新山口駅(旧小郡駅)で新幹線を降りて、在来線の山口線に乗り換えます。約20分でJR山口駅着です。列車は2両編成。県庁所在地に向かう列車がわずか2両編成というのも、ちょっとユニークです。それだけ人の行き来が少ないのでしょうか。しかし、昨日と今日はJR山口線でD51形蒸気機関車の復活運転が行われていて、新山口駅山口線ホームは鉄道ファンでいっぱいでした。こういう「売り」があるのは地域にとってはとてもいいことです。D51より一足先に新山口駅を出発する我々が乗るディーゼル車の車窓からもD51の勇姿が見えました。炭水車に石炭をいっぱい積んでモクモクと黒い煙を吐いています。このピカピカと輝く石炭が何とも懐かしいですね。昔は小・中学校の暖房は石炭ストーブ。週番の生徒が毎朝2人一組で、寒い中をバケツをもって石炭置き場に石炭を取りに行き、帰ってきて教室の前の方にあるストーブに新聞紙を入れてマッチで火をつける。石炭になかなか火がつかなくて、新聞紙をどうやって置いて、どのぐらいの量の石炭をくべたらいいのか、知恵を絞りました。


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山口市は人口20万人弱。静かな落ち着いた街です。西の京と呼ばれています。明治維新を導いた長州藩の中心地で、市内には「明治維新の策源地」と書かれたのぼりが目につきました。「策源地」という言葉は普段あまり聞かないし使わないですね。新しい造語かなと思って「新明解国語辞典」を引くと、「前線の作戦舞台と違って兵站(へいたん)活動を行う後方基地」とありました。なるほど。明治維新を起こす前に高杉晋作坂本龍馬西郷隆盛など、幕末の志士達が集まって策を練った地ですものね。山口に来るのは数年ぶり。多分今までに5,6回は来ています。静かな湯田温泉室町時代にこの地に勢力を誇った大内氏ゆかりの国宝瑠璃光寺(るりこうじ)五重塔、フランシスコ・サビエル(ザビエルではないそうです)の記念聖堂があり、とてもいい街です。
 
山口の駅前からイチョウの街路樹が美しい道を山口県立美術館の方向へ。今日のお目当ては「雪舟発見!展」です。雪舟筆の作品「倣夏珪山水図」(室町時代)が84年ぶりで発見され、それが他の雪舟の作品とともに展示されています。雪舟は岡山の総社で生まれ、総社には幼少の頃雪舟が涙でねずみの絵を描いたと伝えられる宝福寺があります。雪舟周防国(山口)の大内氏の庇護(ひご)のもとで作品を制作し、その後中国に渡り本場の水墨画を学びました。帰国後も周防国(山口)、豊後国(大分)、石見国(島根)で絵を描き続け、最後は石見国の益田で亡くなったと言われています。今回、初めて雪舟の絵をしっかりと鑑賞することが出来ました。絵をスクリーンに拡大して見せる仕組みもあったりして、とても楽しめました。雪舟の描いた家々にはちゃんと屋根瓦があって意外と現代の日本家屋と変わらないと思いました。たぶん定規を使って線を引いたと思われる塀や家屋、屋根瓦の描写も、モダンで意外性がありました。松を始めとする樹木や植物、そして人物の描写はさすがです。私も水彩画の色付の前の線描きは墨を使うので、とても参考になりました。

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美術館を出て、空腹を満たすために近くのおそば屋さんでそば定食を食べました。このそばの美味しかったこと。野菜のてんぷらもとても美味しく満足しました。腹ごしらえを終えて、近くのサビエル記念聖堂でスケッチ。時間が無いので、40分ほどで線描き。色は帰宅後につけることにしました。記念聖堂の中も100円で拝観できました。ステンドグラスがとてもきれいで、内部は明るい雰囲気でした。

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山口、ゆっくり歩くといくらでもスケッチポイントが見つかりそうな街です。JR山口線を爆走している蒸気機関車も是非スケッチしたいものです。山口名物の外郎(ういろう)は私の大好物です。山口に来ると迷わずこれをお土産に買います。

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ウオーターフォード F4 水彩紙
青墨筆ペン
ウインザー&ニュートン固形水彩絵の具
所要時間:スケッチ40分、彩色30分