わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

灯台の らせん階段 足がつり (島根県出雲市大社町 日御碕(ひのみさき)灯台 水彩スケッチ)

2017年10月

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温泉津からJR山陰本線に乗って出雲市に来ました。朝からあいにく小雨。JR出雲市駅からバスで約30分で出雲大社連絡所へ。そしてそこから次のバスに乗り換えて約20分で日御碕(ひのみさき)灯台です。JR出雲市駅と出雲大社(連絡所)を結ぶバスはさすがに頻繁に運行されていますが、出雲大社(連絡所)から日御碕への往復バスの本数は少なく、予め時刻表で運行時間を確かめておく必要があります。今朝は幸いスムーズに乗り継ぎが出来て10:57に日御碕灯台に着きました。バスに乗っていたのは数人。ちょっと寂しい感じです。今はシーズンオフなのか、バス停から灯台への道筋にある商店や飲食店もほとんど店を閉めていました。

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バス停から海岸の方へ歩くとすぐに絶壁の上に立つ白い灯台が見えてきました。私にとっては何十年振りかで見るなつかしい灯台です。明治36年(1903年)初点灯。高さが43.65メートルの日本で一番高い灯台です。灯台の正面入口から200円の参観料を払って内部を見せてもらいました。受付は二人の女性でした。靴を脱いで荷物を預けて身軽になって狭いらせん階段を登ります。最初はスイスイと登っていたのですが、次第に息が荒くなって、最後の163段を登りきるところで足の筋肉がつって痛くなりました。私は普段から毎日それなりに歩いて足腰を鍛えているつもりなのですが、この体のバランスを取りにくい急階段の登りは想定外の運動量になりました。
 
灯台の 163段 息切れる


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灯台のてっぺんでは外に出られるようになっていて、身を乗り出すと広い日本海が目の前に広がっていました。水面からこのてっぺんまでが63メートル。下に目をやるとちょっと恐くて、足がすくみました。雨に濡れた展望デッキでは靴下をぬいで裸足で歩くようにと受付の人から言われたのですが、足が冷たいし、ぐるりと回っていて誤って滑って転んで手すりを越えて下へ転落したらハイそれまで(歳をとるといろいろなことが心配になりますね)、と思い、デッキに出るのはあっさりやめにしました。
 
灯台の 展望とんでもない スリル


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灯台を降りて、この見事に美しいフォルムの灯台を正面からスケッチすることにしました。幸い雨が止んで、1時間ぐらいならスケッチできそうな状態になりました。小ぶりのF4の水彩紙に手早くスケッチして彩色。灯台自体が真っ白で、バックの空が曇り空の灰色なので、あまり色彩のない絵になりましたが、何とか灯台を引き立たせる感じで描けたと思います。

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スケッチをしている最中に灯台の受付をしている女性がスケッチを見てくださいました。「できれば全国の灯台をスケッチしたいと思っています」と話したら、ご親切に『のぼれる灯台15基 その歴史』という小冊子を持って来て下さいました。これはなかなか役に立ちそうな冊子です。最後に、スケッチを灯台の受付の二人にお見せして、昼食を近くの食堂で取りました。


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バスの出発まで時間があったので、ウミネコの繁殖地である経島(ふみじま)も見ました。


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帰りのバスで出雲大社に近い稲佐の浜(いなさのはま)のそばを通り過ぎました。この浜は出雲風土記の「国引き神話」で有名な場所です。私にとっては小学校の臨海学校の思い出の地です(この浜を見るのは実に小学生の時以来です)。私は当時島根県松江市の小学校にいて、5,6年の夏に水泳訓練でこの稲佐の浜に3泊4日位の日程で滞在しました。それまで水が苦手で全く泳げなかった私ですが、担任のI先生(男性で国語の先生)に指導されて、何とか水に浮かべる様になり、10メートルほど泳げるようになりました。クロールの息継ぎがうまくできなくて、この海で何度も飲み込んだ塩水の味が忘れられません。そしてもう一つ忘れられない稲佐の浜の思い出があります。浜から宿に引き上げる時に全員バスに乗ったのですが、男子と女子が5人ずつ10人ほど取り残されて、マイクロバスで帰ることになりました。担任のI先生も一緒でした。しかし、座席が足らなくて、先生が「男子が席に座って、女子は男子の膝の上にすわれ」と指示されたのです。私の膝の上に座ったのは私がずっと密かに好意を寄せていたEさんでした。クラスの副委員長で頭がよく、しかし一度も話す機会のないかわいいEさんが私の膝のうえに水着のままちょこんと座るという、突然降ってわいたような幸運に、当時の幼い私の頭の中は真っ白になりました。しかし、バスに乗っていたのはわずか10分ほど。あっけない幸せでした。ああ、あれからもう60年近く経ちます。人生は短く、いろいろと楽しい思い出だけが残ります。


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ウオーターフォード水彩紙 F4
青墨筆ペン
ウインザー&ニュートン固形水彩絵の具
所要時間:1時間