わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

瀬戸内の 小島に アートの風が吹く (香川県直島と岡山県犬島 瀬戸内国際芸術祭 水彩スケッチ)

20134
 
今、瀬戸内海の島々を会場に、瀬戸内国際芸術祭が開かれています。今回は、その中のメイン会場ともいえる香川県の直島と、銅の精錬所跡で有名な岡山県犬島を2日に分けて訪ねました。
 
直島へは、JR岡山駅からJR瀬戸大橋線、途中宇野線に乗り換えて終点宇野駅下車、そこから大型フェリーで20分です。宇野に向かう電車は、平日なのに現代アートを楽しもうという人々の楽しそうな笑顔で溢れていました。外国人の若いカップルや家族も見えます。宇野駅には瀬戸内国際芸術祭の案内看板や横断幕が張られ、町をあげての歓迎体制です。大勢の人がフェリー乗り場に並び、大盛況です。
 
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フェリーは大型ですが、車はいっぱい、客室もほぼいっぱいの人ですし、デッキも初夏のような強い日差しを楽しむ人達で賑わっていました。よく見るとデッキのベンチに座っているのは、半分以上が外国人でした。こんな瀬戸内海の小島に、なぜこんなに多くの外国人が押しかけるのか、実に不思議です。ベネッセ(福武総一郎氏)の企画力と開発力、そして宣伝と集客力が光ります。直島の宮浦港に着いて、すぐに芸術祭のチケットを買いました。チケット売り場、売店、食堂などもちょっと予想を超える規模で、受付も案内の人もすべて完璧な英語対応ができています。
英語とフランス語対応という食堂や民宿もありました。また、トイレはどこにいっても清潔でした。
 
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今回はレンタサイクルを借りて、家プロジェクトを回ってみることにしました。レンタサイクルの店は船着場周辺に沢山あります。島の民家を使ったモダンアートはどれも印象的で見事でした。どの家も写真撮影禁止となっており、そのため落ち着いて、全てのアートを全感覚で吸収しつくそうという気になります。その時感じた印象が心に焼き付き、写真よりずっと記憶に残ります。
 
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その他、宮浦港にある草間彌生さんの「赤かぼちゃ」や、港の近くの直島銭湯「I♥湯」など、アートの世界が島中のいたるところに広がっていました。島の人の生活でさえ、例えば庭の洗濯物や、玄関先に置いてある自転車も、全てアートに見えてくるのが不思議です。また、この島を尋ねてきた人たちを見ると、若い女性が多く、しかも彼女らの服装が明るくファショナブルであるのが、印象的でした。アート系の学生さんが多いのでしょうか。
 
 
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次に、週末に岡山県の犬島を訪ねました。この日は、気温が上がらず、肌寒く、朝は快晴でしたが午後からは小雨も降って来ました。岡山駅前から西宝伝行きに乗り45分。そして連絡船が10分程度で島に着きます。この島も、着いた港のすぐそこからベネッセの管理下にあります。ベネッセの券売所で入場券を買わなければ、お目当ての銅精錬所跡には近づけないことが、あちこち1時間ほど島を歩いて見た結果わかりました。どこからもこの精錬所に近づけないのです。恐るべし、企業の力。観念して2000円のチケットを購入して精錬所美術館へ。
 
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噂には聞いていましたが、この精錬所跡は見事の一言に尽きます。ベネッセが精錬所跡を再生・保存して公開していて、この建物自体がアートになっているのです。一回りしたあと、精錬所が見える海岸でスケッチをしました。しかし、天気予報どおり、下書きを終えたところで雨がぽつりぽつり。傘をさしてスケッチを続けましたが、絵の具が乗らないので途中で断念。やむを得ず普段以上に薄塗りになってしまいましたが、春の雨が落ちてきた精錬所の感じが描けたのではないかと思います。出口までゆっくり精錬所の敷地を歩いた後、予定より早い船で西宝伝・岡山駅へ戻りました。
 
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瀬戸内国際芸術祭は、瀬戸内海の香川と岡山の12の島を舞台に、春、夏、秋と、くり広げられています。島にいると、なぜかのどかな気分になります。他の10の島々にも是非行ってみたいと思います。このプロジェクト、間違いなく瀬戸内の島の活性化につながっています。繰り返しになりますが、ベネッセホールディングスの企画力と営業力に脱帽です。しかし、その半面、例えば地元の人が自分たちのふるさとの銅精錬所跡にちょっと行ってみたいと思った時に、2000円の大枚を払わなければ訪れることができないとなれば、これはやや問題かもしれません。国立公園の内部は本来誰でも自由に歩けていいはずです。国際芸術祭が終わった時には、入場料を大幅に下げるとか、無料にするとか、そのような企業努力も求められていると思います。