わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

瀬戸内の歴史あふれる港町 鞆の浦 水彩スケッチ (広島県福山市)

20129

 

JR福山駅前で、鞆港行きバスに乗って約30分、鞆の浦で降りるのか、終点の鞆港まで行くのか、ちょっと迷いましたが、他の乗客につられて鞆の浦で下車。バスが古く、道路の舗装状態も悪くて、決して快適とは言えない乗り心地なのに、運賃510円はやや高い。ここに来てみると分かりますが、道路の幅が昔のままなので(これはいいことです)、車がすれ違いできないぐらい狭く、また、町の中に駐車スペースがほとんどありません。止む無くバス利用となるわけで、バスの運賃が高いと思っても、観光客にとっては、これしか他に「足」がない、という訳です。帰りのバスは比較的新しいバスでした。



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対潮楼・福禅寺から見える海の風景

 

バスを降りると、すぐ目の前に静かな瀬戸内海と小さな島々が広がります。海岸沿いの道を少し歩いて、10分ほどで最初の目的地である「対潮楼・福禅寺」に着きます。ここは昔、朝鮮通信使が宿泊した場所です。彼らが、この場所の風景を「日本で一番美しい景観」、と誉めたとか。確かに素晴らしい海の眺めです。戸が全部開け放たれているので、広い部屋の中を海風が心地よく吹き渡ります。江戸時代は、ここが使節のための迎賓館になっていました。福禅寺は平安時代に創建された真言宗の寺院です。受付の人は、対潮楼だけでなく、隣接する本堂の観音様も拝んでいってほしい様子でしたが、ほとんどの人は対潮楼だけ見ておしまい。私は、観音像に少し関心があるので、ゆっくりお姿を拝見しました。



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福禅寺を下ると、古い民家が連なる路地に出ます。一軒一軒の家の前に、きれいに鉢植えの植物が並べられていて、住んでいる人たちの、鞆の浦をきれいに保ちたい気持ちが、直接伝わってきます。港の近くの古い商家の連なる町並みも見事です。


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そして、港へ。見えました。きれいな港の風景です。小さな漁船が沢山停泊していました。鞆の浦は、昔から、潮待ち、風待ちの港として栄えました。大きな常夜燈と、蔵と、古い民家の連なる港の風景は、やはり一級品です。ここだ、と思い、スケッチを始めました。今日の広島地方は、午前中曇りで午後から雨、の天気予報。紫外線が強くなかったのは幸いでしたが、スケッチを初めて間もなく、案の定、ぽつりぽつりと雨がスケッチブックに落ちてきました。「ああー、これだと色が乗らないなあ」と思いつつ、スケッチ続行。今日は傘がないので、スケッチを早めに切り上げるしかありません。そういう訳で、今日のスケッチはやや未完成気味。ちょっと心残りがするスケッチです。しかし、その時の空気感を絵に残したいので、あとで色を付けたりはしません。現場で描いたそのままで「完成」です。


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 昼ご飯は、名物の「鯛茶漬け」です。これがすこぶる美味。あっさりしていて、しかし鯛の味が細かく刻んだ海苔の香りとマッチして口の中に広がり、この暑い時期でもいくらでも食べられそうです。


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 お腹がふくらんだ後、再度、町を散策。スケッチの場所を探します。もう一カ所描きたかったのが、港の近くの「保命酒」の酒蔵。しかし、天気のこともあり、それを描くのを早々と断念。

 

今日は、有名な観光地での通りすぎる人の多さに気後れし、やや集中力を欠いた「小心な自分」が出てしまいました。素人なので、人がいるところではなかなかスケッチブックを開けない。本当は、スケッチをしていても、ほとんどの人はわざわざ見に来たりしないんですけどね。