わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

超レトロ 駅舎 改札 トイレまで (門司港駅水彩スケッチ 福岡県北九州市門司区)

20129

 

門司港駅が9月下旬から改修工事に入り、これから5年間は見ることができないと聞き、スケッチに出かけました。ひょっとしたらもう駅舎が工事用の足場や白いカバーで覆われているのじゃないか、と心配しながら、門司港駅着。電車は、この駅を一目見ようと、朝から、家族づれやカメラをもった人達で結構混んでいました。門司港駅のプラットホームに降り立つと、いわゆるターミナル駅独特のプラットホーム。線路がここで行き止まりです。木づくりの長いプラットホーム。函館や高松など、いわゆる昔の国鉄JR)連絡船が発着していた港の駅に共通する雰囲気です。急いで改札を出て、駅の構内を抜け駅前へ。わあー、素晴らしい!振り返るとレトロな駅舎がどーんと立っています。ほっとひと安心。まだ、工事は始まっていません。大丈夫でした。


 
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駅前では、人力車を引く人達が、観光客を呼び込んでいます。これも控え目で、しつこくないのがいいです。若いカップルが誘われて乗っていきます。港の見える町を、案内付きでぐるっと一回りするようです。


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 朝が早いので、駅前の人の数は多くなく、みなベンチに腰かけたり、駅前の噴水の周りに立って、カメラを構えたり、のんびりした雰囲気です。私もベンチに腰かけて駅舎のスケッチ開始。九州の人たちは人なつっこい人が多いようで、いつもよりずっとギャラリーが多いです。いろいろな人(おじさん、おばさん)が絵を覗き込んでいくので、素人絵描きの私は若干緊張気味。1時間半ほどで、1枚仕上げました。

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 門司港駅の造りは、絵を描いてみると、その素晴らしさがよくわかります。緑青がふいた屋根も、ピンクの壁も、いい色合いです。駅の構内も実にレトロです。特に感心したのが男子トイレ。古いのに、ゆとりの造りです。一人ひとりが立つ場所の両側には、プライバシーに配慮して低い「仕切り壁」があり、その便器の列が、角では直角にならずに扇型に配置されています。レトロなのに何という「ゆとり」と「美意識」。おまけに、その男女トイレのそばには、別に共通のかなり広い「洗面所」があり、女性の化粧や、そのほか歯磨き、水の補給などができます。なんという心配り。こんな素晴らしいトイレは、私は日本では初めてです。切符売り場も、待合室もレトロ。駅員さんの白い制服がこれまたおしゃれ。結婚式に参加するのか、和装の女性もちらほら。この駅によく似合います。


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 駅舎を改修するときに、これらの施設を現代風に変えて欲しくないですね。貴重な建築物です。是非、このままで残して頂きたいものです。東京、大阪、京都、博多、どこも最新の駅設備を誇っています。しかし、どこの駅もモダンで新しくで皆同じでは面白くないですよね。その意味では、この門司港駅は貴重な日本の財産です。

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 今日は門司港駅を見に来たので、ゆっくり駅を眺めることができて、満足しました。遠くからわざわざスケッチに来た甲斐がありました。駅からすぐに関門海峡が見えます。今日は、門司港駅周辺は非常にたくさんの観光客でにぎわっていました。皆、港の見える海岸沿いを散歩し、食事をし、ライブ音楽を聴き、それぞれに秋の一日を楽しんでいるようでした。

 
最後に、帰宅し、義母にこの門司港駅の絵を見せたら、なぜかしみじみと感慨深い様子。どうしたのかと聞きましたら、戦時中はこの駅と港から多くの日本の若者が戦地に船で送られたとか。門司港は出征の基地だったのですね。ちなみに義母は九州出身です。中国や韓国と領土の問題で緊張する昨今ですが、もう二度と戦争で他国へ若者を送り出したりしてはいけませんね。



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