わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

英単語メモ ー co-creation(コ-クリエーション)

2022年2月23日

 

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NHK 語学テキスト『ラジオビジネス英語』(2021年10月号)に掲載されているリンダ・グラットンさん(ロンドン・ビジネススクール教授)のインタビュー記事。その中に出てくる言葉について今日も考えてみました。

 

気になった(気に入った)のは co-creation(共同創造)という言葉です。何となく英語の辞書には無さそうな単語だなと思いながら、いくつかの辞書を見ましたが、やはりありませんでした。新しく最近人々の間で使われ始めたのか、あるいはグラットンさん自身が自分で作り上げた言葉なのか、よくわかりません。しかし、creationが「作り出すこと、創造」という意味であることはよく知られているので、それに接頭辞co-がついて「共同で」という意味を付加することで「共同創造」の意味になることはすぐに分かります。

 

グラットンさんは、この co-creation が人生の様々な面でとても大事だと述べています。これは人生では友人関係や人間関係がとても大事という意味で、ごく当たり前のことなのですが、しかし、何かを作り出すという局面では、うまく人と共同(協同)できるかどうかが、あとで振り返ると決定的な意味をもっていることがよくあります。

 

例えば、私の退職後の主な活動である水彩スケッチでもそうです。今は、30人を超える人達が集まってスケッチ会を作っています。ほとんど高齢者です。それまでの人生の経歴は様々。画歴も様々です。プロもセミプロもアマチュアもいます。絵のスタイルも全員バラバラです。この人達が月に2度集まって野外でスケッチをします。3時間のスケッチをして、最後に皆が一箇所に個々の作品を持ち寄って講評会をします。その時の刺激はちょっと言葉で言い表せません。個性というか、その人の感性や人生そのものまでがどっと溢れ出てきます。この時の感覚がまさに co-creation なのだと思います。自分の力だけでは出せなくて、多くの人の共同で生み出されるグループ共通の喜びです。これがまさに生きる力になるなあという感じです。これが前回(2月16日)に取り上げた resilience (弾力、回復力、抵抗力)となって、コロナ禍の困難な時代でもしぶとく生きていける力になるはずです。

 

この時大事なのは、集団の多様性です。いろいろな人がいる。一つの画風にまとめ上げない、自由に描く。誰も拒まないし、誰も排除しない。共生の理想を実現しています。多分職場でも家庭でも、この雰囲気が大事なのではないでしょうか。この雰囲気が大事にされている集団は伸びます。生物学の分野では「生物多様性」という概念があります。いろいろな生物種が雑多に存在する状況が生物の繁栄には最も好ましいとされています。いろいろ個性の異なるものが集まって作る co-creation (共同創造)の重要性を、もう一度考えてみたいものです。