わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 『ひとり旅は楽し』(池内 紀著、中公新書) (その1)

2021年1月1日

 

f:id:yaswatercolor:20210101174322j:plain

 

新型コロナの世界的流行で、遠くへ出かける旅が「不可能」なものになって早くも1年近くになろうとしています。仕方がないので、本の中で旅をすることで、しばし旅行気分に浸ることにしました。読んだ本は昨年8月に78歳で亡くなったドイツ文学者の池内 紀(いけうちおさむ)さんの『ひとり旅は楽し』。昨年の9月頃には、新聞各紙が池内さんを悼む特集記事を載せていて、それらの記事を読まれた方も多いと思います。私は池内さんの声をカーラジオで何度も聞くことがあり、そのたびに色々な話を楽しませていただきました。

 

朝日新聞の「池内紀さんを悼む」(評論家・川本三郎 筆、2019年9月11日)の記事は次のように書かれています。

 

「池内さんはもっとも尊敬する物書きであり、その飄々(ひょうひょう)とした穏やかな人柄にはいつも心がなごんだ。  55歳の時に東大教授を辞め、その後、筆一本で文章を書き続けた池内さんは天性の自由人だった。  権力や権威とはほど遠い。学会や文壇とも距離を置き、自分の知的好奇心のおもむくまま仕事をされた。趣味が確固たる思想になった。 (中略)  昭和15年生まれ。戦後民主主義のなかで育った。だから近年の日本のきな臭い状況を危惧されていた。  ただ直接に政治的発言をする方ではなかった。大きな声は嫌った。 (中略)  旅、山登りを愛した。それはどこか小さな桃源郷を求める旅のようだった。隠棲(いんせい)への思いもあったろう。」

 

その池内さんの『ひとり旅は楽し』を、一緒に旅を味わうつもりで、この正月ゆっくり読んでいくことにします。(つづく)