わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

氷雨降る 富田林で 心折れ (大阪府富田林市 水彩スケッチ)

2019年11月28日

 

グループで大阪府富田林市に来ました。新大阪から地下鉄と近鉄を乗り継いで、朝10時過ぎに現地着。今日の参加者は9名。折しもこの冬一番の寒波襲来で大阪地方はかなり寒い風が吹きました。最高気温11℃でしたが、風のため体感温度はそれよりもっと低かったとおもいます。天気予報では大阪府は午前中曇りで午後からは晴れのはずだったのに、富田林ではスケッチを始めた頃から冷たい小雨が降り始めました。

 

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富田林の町はとても魅力的でした。寺内町ということで、お寺を中心に民家や商家がまとまって、周囲とは独立した一つの閉じた町を作っている感じを受けました。富田林の町並みを見ながら、門前町寺内町との違いはなんだろうと考えたのですが、門前町は宗徒や民衆が社寺にお参りして賑わう町、寺内町は社寺を中心に住民を外部の勢力から守る町ではないかとおもいました。富田林は町が小高い丘のような場所に立地していますし、町筋の道は狭く、しかも「あてまげ」といって、交差点で道が少し(半間:1メートルたらず)ずれていて、遠方からまっすぐ通りを見通せない構造です。まるで城下町のような作り。防衛に主眼をおいた町の作りです。そして碁盤の目のように規則正しく並んだ通りと町並みはお互いによく似ていて、最初ここに来た時はちょっと迷いそうになります。これもその昔、侵入した部外者の目をあざむく方法だったのかもしれません。

 

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今回、町中のあちこちに点在する古い家に興味を引かれたのですが、それらを見て回る時間は無く、とりあえず町の中心にある興正寺別院(こうしょうじべついん)が見える場所にイーゼルを立てて描き始めました。このお寺は重要文化財で、日本の道100選に選ばれた城之門筋のちょうど中程にあります。初めは気分良くスケッチを始めました。しかし、想定外の雨で、水彩用紙の表面が濡れ始めました。そうなると鉛筆も筆ペンも消しゴムもすべて受け付けません。筆ペンの線もにじんでしまい、どうにも収拾がつかなくなりました。仕方なく、記録としてさっと簡単な色だけをつけることにしましたが、これも雨で流れます。いろいろ場所を変えてなるべく雨が当たらないように工夫しました。しかし、結局無駄な努力でした。寒さで体が冷え切って、心も折れてしまいました。通りがかりの地元の奥さんが気の毒におもわれて声をかけてくれました。

 

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まあこんな日もあります。これが野外スケッチらしいところです。理想的な日ばかりではありません。雨が降って水彩用紙の画面が濡れて、いかにも雨の日にスケッチしたという雰囲気の絵ができました。これはこれでいいとしましょう。今日訪れた場所も出会った人も、皆、一期一会。その時に描いた絵を、その時過ごした時間とともに、大事にしたいとおもいます。ついでですが、お昼に城之門筋の南端にある小さなパン屋さんで買ったベーグルは、とても美味しくて印象に残りました。

 

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ウオーターフォード水彩紙 F6中目 2枚

青墨筆ペン、ホルベイン水彩絵の具

所要時間:1時間30分