わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

くものある日 くもは かなしい  くものない日 そらは さびしい

2016年3月12日

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朝日新聞の第一面に連載されている「折々のことば」(鷲田清一。数日前に、次のような詩の紹介ありました。
 
くものある日 くもは かなしい
くものない日 そらは さびしい

 
 「雲」と題した短詩の一つ。ひとの生はその一つ一つがどこかもの悲しい。上へ下へ、右へ左へとあてどなく漂うばかりで、じっとしていることがない。けれどそうしたいのちの姿がない世界はもっと寂しい。透明で美しいかもしれないが、いのちの息づかいも消えてしまうのだから。詩編「秋の瞳」から。別に、「もくもくと 雲のように ふるえていたい」という詩もある。(鷲田清一

 

この詩を読んで、妙に感動しました。絵を描いていると、やはり空の表情が真っ先に気になります。風景画の場合、空は絵のイメージを決める大事なポイントです。私はまず一番に空を描きます。青空はきれいですが、ただそれだけだとさびしいです。雲があるときは、雲がいろいろな表情を示すので、まるで生きているようです。それで上の詩でも、雲がかなしいと、擬人的に表現したのでしょうね。きれいな形をした雲だなあ、とおもっているとあっという間にその形がくずれ、それだけで時間の移ろいや自然のはかなさを感じます。


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早速、八木重吉詩編「秋の瞳」をインターネットの「青空文庫」からダウンロードしてみました。 それほど長くない詩集です。そして、一つ一つの詩が、空や空に浮かぶ雲をいつも頭にえがいているような、やさしく、時に孤独でさびしく、透き通った感じの詩です。

 

「雲」と言うと、「雲は天才である」という石川啄木の小説のタイトルが有名です。これもきちんと読んだことがなかったので、一緒にダンロードしました。「青空文庫」は無料なので大変ありがたいです。


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