わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

立冬

2022年11月7日

 

立冬や今日という日を楽しまん」

 

今日は立冬。暦の上では今日から冬です。俳句を詠む人は原則今日から冬に季語を使うことになります。ちょっと季節を先取りしすぎの感がどうしてもありますが、これが俳句の決まりなのでしょう。俳人は皆季節の変化に敏感です。

 

いつも朝の散歩で出会う野猫たち。彼らを見ていると教えられることがたくさんあります。

体一つで生きていく根性。暑くても寒くても、その日その日を精一杯生きている感じがひしひしと伝わってきます。これが本来の生物の姿です。昨日は振り返らない。明日に幻想を抱かない。毎日毎日を生きることだけに全力集中。私などとても真似できそうにありません。

 

生きて生きて、そして体力が無くなれば死んでいく。基本的な生物の姿を見せてくれる鳥や野猫や昆虫や植物。それらをじっくり観察すると、生きることの意味が少しわかったような気になります。人間の一生はそんなに単純ではないのですが、基本は他の生物と共通のはずです。こんな生き物に学ぶことは多いです。

 

立冬」を季語にした句をひとつ。

 

立冬をさっと雨降る四辻かな」     蓬田紀枝子

 

立冬の日に雨。十字路を濡らしています。田舎道なのか都会の道なのか、どんな道なのか分かりませんが、それは読者の想像に任せています。いずれにしてもさっと冬の雨が降って、そこに風情を感じたのでしょう。「立冬に」ではなく「立冬を」としたところが、この句のいいところかもしれません。これも読者にいろいろ想像させます。