わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

Live 配信「ハンセン病問題を語り継ぐ」を見て

2022年5月15日

 

 

今日の午後、岡山弁護士会主催の「ハンセン病療養所の歴史的建造物・資料の保存と活用を考える」講演会が岡山市民会館であった。Live 配信されるのをたまたま知って視聴した。

 

岡山県には長島愛生園と邑久光明園という2つの国立ハンセン病療養所がある。私達スケッチグループがしばしば訪れる風光明媚な瀬戸内海。そこに浮かぶ小島(岡山県瀬戸内市)にそれらの隔離施設がある。つい20年ほど前まで国の隔離政策は続き、入所者と家族への人権侵害は続いた。

 

岡山市内で開催される写真展やNHKの報道などでしばしば目にし耳にするハンセン病療養所だが、実は私はまだこれまで一度も現場に行ったことがない。ハンセン病に対する歴史的な差別や偏見の話を聞くにつれ、何となく気持ちが塞いで行ってみようという気がしなかった。

 

今日の講演会では、俳優の石井正則さん、大分県弁護士会の徳田康之さん、熊本県の施設の歴史資料館学芸員・原田寿真さんらが、この差別・偏見の人権問題についてわかりやすく話をして下さった。石井さんは、前もっての勉強は要らないからとにかく現場の歴史的建造物を見て、人々が差別や偏見の中で強く生きてきたことを感じてほしいと話していた。原田さんの話には、まだ若いのに療養所の資料の保存への強い意気込みが感じられた。

 

徳田さんの話の中で、新型コロナの感染者への差別の話があった。ハンセン病患者への差別と似ているという。新型コロナ感染が広がり始めた初期の頃、感染者を差別し追い詰める風潮が確かに国内にあった。横浜港に着いた新型コロナ感染者を乗せたクルーズ船の乗客の中に岡山県の人が何人かいて、その一人が私の住んでいる団地の人だという噂があった。ヨーロッパから帰国した旅行者の中にも感染者がいて、スペイン旅行から帰って岡山で最初に発病した人は、私の家族がお世話になっている病院の奥さんだったと分かってしばらく近所の噂になった。地元の大手デパートのアルバイトの女性は感染が分かって自ら命を断った。こんな悲しいことがあってはならない。こういう差別や偏見はハンセン病の場合と同じだ。岡山県内で連日1000人近くの感染者が出ている今でも、ひょっとしたらこんな県民感情はあるのかもしれない。多分まだあるだろう。

 

こういう差別や偏見はどうしたら無くなるのだろう。実際に現場を見る、関係者の話をよく聞く、相手の身になる、自分で努力して科学的・客観的知識を身につける。自分の身の回りで差別や偏見をなくす一歩一歩の活動が大事だと感じた。