わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

セイヨウリンゴ(バラ科・リンゴ属)

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リンゴは植物学的にはセイヨウリンゴと呼ばれます。江戸時代末期から明治にかけてアメリカから苗が移入され、その後、明治後半から青森県や長野県で盛んに生産されてきました。冷涼な気候を好む木ですが、私の住んでいる岡山県のような温かい場所でも時々リンゴの木を見かけます。実は私の家の庭にも数年前まで小さなりんごの木があり、毎年2つ3つなる実を大事に育てていました。しかし、やはりこのところの夏の暑さには勝てず、残念なことに枯れてしまいました。私が毎朝歩く散歩道にも近所の農家が育てているリンゴの木があります。岡山市あたりでは4月の終わり頃に花が咲きます。

 

リンゴのピンクがかった白い花は清楚です。この花を見るとどうしても連想するのが、島崎藤村の詩「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えし時 前にさしたる花ぐしの 花ある君と思ひけり」です。確か中学校3年の国語で習いました。

 

それから何年も経って、ずいぶん歳をとってから初めて青森県や長野県を旅行した時、リンゴがたわわに実る大規模なリンゴ農園を見て感動しました。最近はいろいろな果物がいつでも食べられる時代ですが、やはり果物の王者はリンゴだと思います。日本では高品質のリンゴが沢山収穫されて、しかも冷蔵保存が効くので1年中食べることができます。多少古くなっても、細くスライスして電子レンジ500Wで2,3分熱すると美味しい焼きリンゴになります。

 

リンゴは絵のモチーフとしてもよく使われます。絵画教室などに行くと、初心者はまずリンゴをよく描かされます。しかし、リンゴを描くのは実はそれほど簡単ではありません。リンゴの配置、光の当たり具合と影の具合、立体感、色合い。どれも難しい。機会あるごとにリンゴを描いて、だんだん絵の腕が上がっていきます。フランス印象派の画家ポール・セザンヌもせっせとリンゴを描き続けました。貧乏だったセザンヌは、安くて保存の効くリンゴにはおおいに助けられたことでしょう。