わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

布マスク2枚の全世帯への配布が始まりました

2020年4月17日

 

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために政府が行う布マスク2枚の国内全世帯への配布が始まりました。まず今日は感染者が全国で最も多い東京都からマスクが各家庭に配達されたようです。しかし、この布マスク配布は、政府からその構想が発表された時点から国民の間であまり評判がよくなく、「アベノマスク」と揶揄(やゆ)されるなど、冷ややかな受け止め方をされました。海外のマスコミも「わざわざ政府が数百億円もの大金を注ぎ込んでやる施策ではないだろう」と驚きと皮肉に満ちた論評をしているようです。

 

私が読んだ4月3日付けの朝日新聞には一般的に市販されている不織布マスクや今回の布マスクの穴のサイズとコロナウイルスのサイズを比較する記事が書かれていました。これは一般市民が「マスクをかける意味」について科学的に考えるよい材料になると思いますので、紹介します。

 

まずコロナウイスルの大きさですが、直径0.1マイクロメートルです。1マイクロメートルは1/1,000ミリメートルですので、0.1マイクロメートルは1/10,000ミリメートルとなります。ずいぶん小さな粒子で、電子顕微鏡でやっとその姿を捉えることができます。

 

次に一般的な不織布マスクの隙間(穴)は5マイクロメートル以下となっています。花粉症の原因となるスギ花粉は30マイクロメートルなので、これはこのマスクでうまく遮断できそうです。中国から飛んでくるので問題になっている大気汚染物質のPM2.5は2.5マイクロメートル以下の直径をもつ微粒子ですが、これだとギリギリ遮断できるかどうかというところです。

 

さて、問題のコロナウイルスの場合ですが、上に述べたようにその直径は0.1マイクロメートルです。このサイズに比べて、不織布マスクの隙間(穴)は50倍ぐらい大きいことになります。従ってウイルスそのものはその隙間を簡単に通り抜けます。一方、感染者が出すウイルスを含んだ唾液や鼻水はそのサイズが比較的大きいので、その多くがこの隙間を通過できません。そうなると、コロナウイルスに感染した患者がこのマスクをつけた場合、その人の咳やくしゃみから他の人にウイルスを感染させるリスクはかなり低くなるはずです。次に、健康な人がこのマスクをつけてウイルスを防ごうとした場合ですが、空中に飛んできた大きなサイズの飛沫(これはすぐに下に落下する)に含まれるウイルスの侵入は防げても、空中に漂うごく小さなサイズの飛沫に含まれるウイルスの侵入を防ぐことは難しいことがわかります。

 

そして今回配布の布マスクですが、このマクスの織り目の穴の大きさは不織布マスクよりも更に大きく、ウイルスを止める効果は科学的には確認されていません。ただし、患者が着ければウイルスを含む咳やくしゃみの飛沫の一部を止める可能性はあります。

 

布マスクも鼻や喉の保湿には有効です。私がかかりつけ医から聞いた話では、喉の保湿は大事で、ちょっと喉がおかしいと思ったら、水を飲むとよいそうです。

結局、健康な人にとっては、布マスクを着けないよりは着けたほうがよいが、コロナウイルスの外からの侵入は防げないということになります。

 

今日のNHKニュースによると、マスクを受け取った人から厚労省に問い合わせがあり、「マスクのサイズが小さいのだけれど大人用か?」との質問が多数あったようです。マスクのサイズが小さいと当然鼻の上や口の下などの回りにできる隙間からウイルスが侵入することが考えられ、それはそれでまた問題です。この布マスク、政府の期待通りすぐに国民の不安を解消させることはなかなか難しそうです。早く従来の市販の使い捨て不織布マスクが流通して欲しい。それが市民の切なる願いです。

 

 

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今日のマルちゃん

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今日は水たっぷりの「ぼかし」の練習です。