わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

もうこの本は読みましたか?「お金の流れで読む日本と世界の未来」(ジム・ロジャーズ著、PHP新書)

2019年3月
 
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新聞各紙で紹介されているベストセラーです。とにかく面白いです。一気に読めます。日本と世界の近未来が気になる人は読むべきです。今、時代が急速に展開しています。かつては「十年一昔」と言って、10年経つと世の中が大きく変わってくると教えられ、実際にそれを実感してきましたが、現代は時代の流れがすさまじく、多分5年ぐらいで古いものが消えて新しいものに変わってく感じです。「この大変化に乗り遅れるな」、と著者は読者に繰り返し訴えています。
 
経済問題は一般人には難しく、いわば他人事のように思っていた私も、自国の経済最優先を主張するアメリカのトランプ大統領の登場以来、世界レベルで劇的に変化する経済状況と、その変化が私達の生活へ与える影響が気になり始めました。この本は世界的投資家の目で見た現在の世界の状態の解説と大胆な未来予想です。投資家は世界中に網の目のような情報ネットワークを張り巡らせて、どこに成長の芽があり、どこがだめになるかを、注意深く研究しています。投資で儲けたり損をしたりというのは、勝つか負けるかのゲームのようで、それがマネーゲームと批判されるのですが、このような投資の世界で日頃から鍛えられた人たちは、国や企業の活動状況や将来性に特に敏感です。したがって、彼らの知識を学び、彼らの意見を大いに参考にして、自分なりに今生きている社会の将来を考えることは大事なことではないかと思います。
 
著者は冒頭で、「歴史から学べ。成功したければ、将来を予測せよ。成功しようとするなら人と同じ思考をするな。変化に対応せよ。」と書いています。これは何も投資の世界に限ったことではなく、すべての世界で通用します。つまりここで言う将来とは具体的には「5年先」だと思えばいいのでしょう。5年先を予想して行動せよと、著者は強く促しています。自分独自のやり方で物事に挑め、と言っています。世の中の変化に対応して頭を柔軟にして対応せよ、と述べています。
 
第1章の日本についての記述では、「私がもし10歳の日本人なら、ただちに日本を去るだろう」、「犯罪大国になる2050年の日本」、「いつか安倍が日本をダメにしたと振り返る日が来る」など、なかなか手厳しいコメントの連続です。そして日本に投資するなら、「観光、農業、教育」。なるほど、これは分かります。そして第2章「朝鮮半島はこれから世界で最も刺激的な場所になる」。これは本当に刺激的な予測でした。最初は半信半疑。しかし、最後は納得しました。そして第3章中国。これはほぼ予想通りの内容ですが、面白い。「いま、世界を支配するのに最も近い位置にいる国は、中国である」。「そのために中国語の勉強は欠かせない」。
 
そして本書の最後の方にはこんな記述も。
「かつて世界を制覇したイギリスがいまや見る影もなく衰退しているように、アメリカもいずれ衰退する。いま10歳の子どもだったらアメリアでの生活は楽しいかもしれないが、50年後、60年後、70年後、彼の地での暮らしは楽なものではなくなる。日本も、残念ながら同様だ。50年もすれば日本人はこの世からいなくなってしまうのではないかと私は危惧している」。
 
厳しい未来予測です。そうならないよう、どう手をうったらいいのか、柔軟にダイナミックに考えていかなければならいないのでしょう。著者ジム・ロジャーズは、アメリカ生まれでアメリカとイギリスで教育を受け、その後ウオール街で活躍。バイクと車で二度の世界一周旅行。2007年には来るアジアの世紀を見越して家族でシンガポールに移住。子どもたちにも中国語と英語の教育。私は、世界三大投資家の一人と言われているこの人の大胆な世界経済予測とこれまでの実践力にかなり刺激を受け、気分は暗くなるというより、むしろ明るくなりました。まずとりあえず、世界と日本の様子を注意深く新聞やインターネットで追いかけながら、自分の5年先を予見して(高齢者なりの)柔軟かつダイナミックな行動計画を立て、それを実行したい、と思いました。