わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

美術館をめぐる旅 ― ふくやま美術館(広島県福山市)

2017年2月


イメージ 1

 
JR福山駅に接するようにそびえる福山城。その西隣にふくやま美術館があります。落ち着いたきれいな美術館です。エントランスまでの長く広い道が素晴らしいです。道を歩きながら東側に福山城天守閣を望むことができます。美術館では現在「驚きの写実絵画 ― ホキ美術館名品展 ―」を3月12日(日)まで開催しています。観覧料は一般1000円ですが、高校生以下は無料なので若い人たちには是非観覧をおすすめします。


イメージ 2

 
ホキ美術館は千葉市にある写実絵画のコレクションが有名な美術館です。その作品70点が公開されています。森本草介野田弘志、中山忠彦、青木敏郎、島村信之、小尾 修などの作家の作品は、まさに「驚きの写実絵画」です。最近は、この写真のような写実絵画がブームになっていて、NHK日曜美術館などでも紹介されました。館内のビデオコーナーで各作家のインタビュー映像が流れています。実際の制作の様子なども映っていて、なかなか興味深く鑑賞しました。


イメージ 3

 
ここに展示されている作品はどれも一つ仕上げるのに1年かかるそうです。写真を拡大鏡で見ながら細い筆で絵の具を丁寧にカンバスにのせていく作業は見ていて気が遠くなりそうです。画家は写真をもとに対象物をリアルに再現するのですが、それで画家の技量はもう十二分に解ります。しかしその一方で、絵を見る人は、画家がその絵を通して何を訴えたいのかが気になります。「その問いに答えるのが作家のこれからの課題だ」と、館内の垂れ幕には書かれていました。美しいものをリアルに忠実に描き残すだけでいいのか。どうやって自分の個性を出すのか。多分、作家達自身もいつもそのことが気になっていると思います。

イメージ 4

 

ふくやま美術館の隣にはふくやま文学館があります。ちょうど地元出身の作家井伏鱒二(いぶせますじ)の資料が展示されていました。井伏鱒二は若い頃画家を目指した時期があり、展示されていた水彩画などもなかなかいい味が出ていました。私は写真に残されている井伏鱒二の風貌が好きです。穏やかでゆとりがある感じです。彼のとてもうまい文章も好きです。


イメージ 5