わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

冬の月 震えるほどに 美しい (岡山県岡山市郊外 水彩スケッチ)

20151
 

朝、夜が明けて散歩に出ると、空に白い月がかかっていました。田舎なので朝の空気はひんやりと冷たく澄み切っています。丘の上の散歩道からは近くの林や低い山々が見え、眼下には農家や田んぼや桃畑、それにマスカットの温室が見えます。月は雲に見え隠れするのですが、早朝の寒さと重なって身震いするほどの美しさです。


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今日は近所の別の小高い丘に登って、キリスト教の日本26聖人の一人、市川喜左衛門(ヤコブ喜斉)の墓に行きました。市川喜左衛門はここ岡山市の出身で、豊臣秀吉の時代にキリスト教の布教活動をした罪で、京都で捉えられ、他の25人とともに長崎で磔(はりつけ)の刑に処せられた人です。長崎の大浦天主堂はこの日本26聖人を祀るために建てられたそうで、原爆投下にも耐え、西洋建築としては日本で最初の国宝に指定されました。



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このお墓は普段は訪れる人もなく、桃畑に囲まれた丘の上に静かに建っています。お墓は昔からあったものではなく、関係者が近年になって建てたもののようです。墓石のそばの大きな白い十字架が印象的です。こんな田舎の村でこんな歴史的な人物が誕生したのが何か不思議な気がします。喜左衛門もその昔、このあたりから冬の朝の美しい月を見ていたのかもしれません。


 
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