松山で 下手な俳句は 詠みにくい (愛媛県松山市 松山城水彩スケッチ)
2014年4月
松山と言えば夏目漱石の「ぼっちゃん」と道後温泉。そして俳句の正岡子規や高浜虚子。いずれにしても文学の香りの高い街です。今日はバススケッチで松山城を描きました。国の重要文化財です。作られた当時のままの姿をそのままとどめている数少ないお城の一つです。松山城の本丸は小高い山の上にあり,以前に愛媛県庁の裏手から登ったことがありましたが,今回はバスがロープウエイ駅の近くの駐車場まできたので,そのままロープウエイで登りました。ロープウエイの登り口である東雲口から城山の8合目の終点長者ヶ平(ちょうじゃがなる)まではわずか5分ほどのあっけない乗車です。降りたところから10分ほど坂道を登ると松山城本丸です。
途中の案内板に松山ゆかりの俳人の名前がずらりと書かれていました。正岡子規,高浜虚子,河東碧梧桐,中村草田男,石田波郷などの有名な俳人の名前があります。いつもブログのタイトルに五七五の俳句のような川柳のような,「おかしな」もの,を書いている私としては,下を向いて身をかがめて通り過ぎたくなるような,プレッシャーのかかる案内板でした。
そこを通り過ぎると左右の石垣の間に遙かに天守閣を見渡せる場所に来ました。絶好のスケッチ場所です。まずここで講師の先生や他の人たちと一緒にお弁当を広げてゆっくりとお城の景色を楽しみました。ここでそのままスケッチを始める人もいたのですが,私は荷物をそこに置いて身軽になって天守閣を目指しました。
天守閣の周りをぐるりとまわってみると,余り人が来ない絶好のスポットがありました。天守閣全体が見える位置ではないのですが,面白い角度から天守閣が描けます。それでもう一度もとの場所に降りて,荷物をもって再度その場所に戻って来て,イーゼルをたててスケッチを始めました。
この間,かなり歩いたので時間がたちましたが,慌てずにスタートです。天守閣とそれをぐるりと囲む塀とそれに連なる櫓(天神櫓:てんじんやぐら)を描きます。さて描き始めてみると,全体の建物をバランスよく描くのが大変難しいのが分かりました。紙のスペースの関係もあって,石垣は下から全部描くのはやめて途中から描くことにしました。それによってむしろ石垣の高さが強調されると思ったからです。
天守閣の周りを巡る人の数は意外と多くて,外国人も沢山いました。日本の春を楽しむ海外の人たちが地方にも沢山来てくれることはうれしいですね。日本では(あるいは日本でも,といった方がいいかもしれませんが)田舎にすばらしいところがいっぱいあるんですよね。
今日は私のスケッチをのぞき込む人もいなくて,スケッチを淡々と進めることができました。ちょっと線描きに手間取ってしまい,彩色の時間が少なくて慌てましたが,まあ何とか2時間半で全体を仕上げました。
今日は,余り人が描かないアングルから迫力のある大きなお城を描くことが出来て満足しました。「人とは違う絵にしたい」,という気持ちが大事ですね。「人があまり描かない場所で描く」,「絵はがきみたいな絵は描かない」,と思って描いていると,それがいつの間にか面白い絵になると思います。絵はうまく描く必要はないと思います。むしろ,見た人の口からが思わず「わあー」と声が出るような,そんな面白い絵を描きたいですね。
今日は松山に来た記念に高浜虚子の句をコピペ(copy and paste:コピーと貼り付け)です。今日の私の心情を詠んでくれています。
「春風や闘志抱きて丘に立つ」