わたしの水彩スケッチと読書の旅

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こんな検査受けたことありますか? 「大腸内視鏡検査」

20138

 

今日は生まれて初めて大腸内視鏡検査を受けました。毎年かかっている人間ドックで、検便の2本のうち1本に潜血反応があったためです。3日前から、ゆるい食事制限で、かたい豆やゴボウなど、繊維質のものは避けるように指示がありました。検査前日は牛乳やヨーグルトなどの乳製品もだめです。検査が朝8時半開始だったので、病院の近くにホテルを予約していました。自宅から病院までは車で1時間の距離があるので、下剤が効いてトイレを気にしながら朝早く病院に行くのが心配だったです。

 

前日の8時までに消化のよいパンで簡単な夕食を終え、9時に下剤ラキソベロン内服液10mlをコップ2杯の水で飲みました。翌日の検査当日の朝にはお腹がゆるくなっていると想像しながら。午後10時過ぎに就寝。夜中の12時、1時、2時と1時間ごとに目がさめました。やはり慣れないホテルのベッドで緊張していたのでしょう。しかし、その後は熟睡し、朝5時前に起床。明け方お腹が痛くなって下痢でトイレに駆け込むことを予想していたのですが、予想に反して何も起きない普通とかわらない朝でした。念のため五時過ぎに排便、そして7時半に再び排便。やはり下剤が効いています。しかし、下剤の作用は劇的ではありません。

 

745分にホテルを出て、歩いて15分で病院へ。この15分の間にトイレに行きたくなったらどうしようと、実は心配していたのですが、大丈夫でした。8時に病院の受付開始。しばらく待って、検査室に入り、大きな丸机を囲んで患者5人が座り、看護師の若い女性の説明を受けました。患者さんは皆、中高年の人達ばかりです。大腸がんは女性のガンの第1位で、今日も女性の患者さんが多いとの印象を持ちました。

 
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最初は5人だけなのですが、時間が経つと、次の5人のグループが入り、次々と検査が行われます。まずやることは、強力な下剤を腸管洗浄剤200mlで飲むこと。それから、着替え室で検査着に着替えます。検査着は膝丈まである半袖の検査用ガウン(浴衣みたいな感じ)と検査用の紙パンツ。紙パンツは当然後ろにスリットが空いているのですが、これを前向きにはいたら失笑ものだな、と思いながら着替えました。腸管洗浄剤は全部で2000mlあり、これを10分から15分おきに200mlづつ全部飲んでいきます。これは冷たく冷えていて、水を飲むようで、それほど苦痛ではありません。これを飲み始めたのが午前9時前。そして、最初の便意を催したのが1時間後でした。患者各人に腸管洗浄剤を飲んだ時間と排便時間を記録する用紙が配られており、それにさらに便の様子を写真にしたものが配られています。最後出たものが残渣を含まず透明な液体になるまで、写真を参考にしながら、排便をくり返します。

 

トイレは全部で6つあり、最後は皆、5分か10分おきにトイレに駆け込みます。そして、もういいかな、と思ったら看護師さんを呼んで、便の様子を見てもらいます。それでOKが出ると、いよいよ検査です。腸管洗浄剤を飲み始めてから排便状態の検査まで約2時間でした。この間、若い女性の看護師さんは患者の世話で大忙しです。ああ、もう出そう、と思ってトイレに行くと、出てくるのは水のような便です。最後のころは、出そうだと思ったらすぐ行かないと、肛門が勝手に開く感じです。つい粗相をしてしまうお年寄りも多いみたいで、着替えをされている方もおられました。浴衣のような検査着は汚れても洗濯が楽ですし、紙パンツは捨てればいいので、やはりうまく考えられています。


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検査の前に、腕の静脈に注射針を刺して注射筒をつなぎ、薬剤を加えられるようにしておきます。検査の前に鎮静剤などいれるのかなと思ったのですが、実際にはこれは使わなかったと思います。やがて、名前を呼ばれて検査室へ誘導されました。きれいな検査室です。装置にオリンパスの会社名が見えます。顕微鏡やカメラを作っている会社です。ベットに体の左側を下にして横になるように言われ、その姿勢でしばらく待機します。血圧や脈拍を同時に測定していきます。時々右腕にまいた血圧測定用のバンドで腕が締め付けられたり、またゆるめられたりするのが分かります。準備をしてくださった女性看護師はベテランのようで、大変作業がスムーズでした。しばらくして担当医が入ってきました。「この検査は初めてですか?」と若い元気な声です。「はい、そうです。よろしくお願いします」と私。まさに、まな板の上の鯉の気分ですね。カメラが入りやすいように肛門にクリームを塗ります。それでカメラは、むにゅっという感じで肛門を通り抜けました。このあたりは、他の検査でも何度が経験しているので慣れています。カメラがどんどん入っていきます。心配したのは、便がどろどろの液体状でまだ次々出てくるのではないかと思ったのですが、絶えず便は吸引しているようで、問題はありませんでした。「おならは我慢しないで出してくださいよ」と声をかけられるのですが、我慢どころかもう肛門の力が抜けて全開放状態です。カメラが途中で曲がり角で詰まって無理に曲がろうとするところが4カ所位あるのですが、そこを通る時が何とも言えない痛みです。体を仰向けにして足を組んだり、右に向いたりします。看護師さんがお腹を押さえます。 「あああああ  痛いです」 「どんな痛みですか?」 「腸が張っている痛みみたいです。ああああ」。これは本当はそれほど痛くはないのですが、空気を送って腸を膨らませているようで、普段あまり経験しない痛みで、つい声がでてしまいました。そのうち、カメラは終点へ達しました。医師がぐにゅぐにゅとカメラを回転させています。「はい、息を吸って!」「そこで息を止めて!」。肺や胃の検査なら「息を吸って」は理解できるのですが、大腸や直腸も「息を吸ったり止めたり」することで形がかわるんだなあ、と妙に感心。肛門のあたりは、相変わらず、ぐじゅぐじゅした感じです。モニターに鮮明に自分の大腸が写ります。「わあ!! すごい!!」「わあ!! すごい、すごい!!! 生々しいですね!!」と私が感動して大きな声をあげるものだから、医師も苦笑いです。「これが大腸ガンだと、もっと生々しいですよ」。

 

「はい、おしまいです。何も異常ありません。血便は、痔かなんかでしょう」。 あれ? 最後はあっけなく終わりました。「異常なしですか? うれしいです!」。

カメラを入れるときは大変ですが、抜くときはあっと言う間です。これでひと安心。終わった後は、安楽椅子の並んだ部屋に連れていかれて、カーテンで仕切られた空間で、一人でゆったり30分間休憩です。カーテンはピンク色で、流れているバックミュージックは、モーツアルトピアノ曲です。こういう場面では、ベートーベンでもない、ブラームスでもない、まして日本の民謡や演歌ではない、やっぱりモーツアルトなんですね。こんなところでモーツアルトの偉大さに感心。それにしても、検査が無事終わって、何事もなくて、幸せな時間です。大腸ガンでなくてよかった!!「ひょっとしたら」、と心配していたんですよね。


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最後に若い看護師さんが顔をのぞかせて、「おならは出ましたか?」。腸の検査では、ガスが正常に出ることが最後の確認事項として大事なんでしょう。それにしても、この検査では、若い看護師さんが、てきぱきと働いていました。「おなら」や「うんこ」など、普段、人前で使うのをはばかられる言葉も、病院では当たり前。恥ずかしがらず堂々と使っています。若いのに、さすが、プロです。素晴らしい!!

 

今日は、生きることの素晴らしさを実感しつつ、以前に描いた食卓の絵を載せます。きちんと食べられる事の幸せ。何事もなく排泄できることの幸せ。こんな幸せはないですね。


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