わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

宮島で 神社を見ずに 帰りけり 広島県廿日市市宮島 水彩スケッチ

2018年11月


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グループ(木曜スケッチ会)で安芸の宮島に来ました。今日の参加者は10名。スケッチ会が始まって3年余りになりますが、今回初めて男性参加者が女性参加者を上回りました。宮島は好天に恵まれ、週末の土曜日なので予想通りの大変な人出でした。

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紅葉の始まった木々は宮島にぴったりの雰囲気です。色づいた木々の間を歩く鹿の姿も宮島らしい。宮島のフェリー乗り場前で集合時間の打ち合わせをした後、参加者はそれぞれスケッチポイントを探して歩き始めました。人混みを避けるようにして、まず厳島神社のシンボルである海に立つ赤い鳥居がよく見える場所へ移動。しかし、今日は人が多すぎて、厳島神社の近くで絵を描くのはかなり難しそうでした。私は鳥居を見た後、海岸通りから町中の表参道の方へ移動しました。途中でもみじ饅頭を作って売っている店があったので、焼き立ての饅頭3個を買いました。少し小高い場所から海と町並みが俯瞰できたらいいなと思い細い路地に入りました。坂道を登ると、厳島神社の朱塗りの五重塔が左手に大きく見えました。右手にはたくさんの民家の屋根と瀬戸内海が見えます。絶景です! 私が持っている古いガイドブックによると「(宮島の町家は)宮千軒と呼ばれ、黒やねずみ色のいぶし瓦が波うって並ぶ様は壮観」とあります。朝で人通りも少ないし、よしここにしよう!と絵の道具入れとリュックサックを地面に置き、イーゼルを立ててスケッチの準備をしました。まず買ったばかりの温かいもみじ饅頭2個を頬張って、水を飲んで、ぐっと元気をつけて、スケッチ開始です。

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スケッチした場所は、なにやら格式の高そうな和風邸宅の門前でした。そのうち、若い女性が門を開けてあたりの掃き掃除を始められました。「おじゃましてすみません」と声をかけると、「全然だいじょうぶですよ。今日はお天気で景色がよく見えますね。下の家の屋根瓦がきれいでしょう」と返事が返ってきました。よく見ると、門前にメニュー表が出されていて、ここは門をくぐって、中で食事ができる料亭のような場所とわかりました。そのうち、魚を焼く香ばしい匂いが漂ってきました。あなごです。ここで1句できました。
 
「あなご焼く 香りただよう 塔の道」


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いい匂いにつつまれながら、快調にスケッチしました。そのうち11時開店のその店を目指して下から次々と人が坂道を登ってき始めました。ついでに立ち止まって私の絵を見てくださる方が多く、中には「とてもきれい」と言って、私の絵と私を並べて写真にとる外国人の女性もいました。これだけ多くの人に絵をみてもらうのは久しぶりです。やはり国際的に名の知られた観光地だからなのでしょう。ギャラリー(見物人)が多いと、ますますやる気になります。
 
あっという間に集合時間の午後1時が近づいて、2時間半のスケッチを終えました。人混みをかき分けるようにして集合場所の宮島フェリー駅前へ。講評会で見た10人の参加者のスケッチはどれもそれぞれの持ち味がよく出たよいスケッチでした。

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講評会終了後、6人で駅前の食堂に入り、アナゴ寿司やカキフライを頼みました。アナゴもカキもどちらも広島の名物です。「今日はすごい人ですね」と和服姿の元気な中年のウエイトレスさんに声をかけたら、「今日はまだ少ないほうですよ」との返事でした。ゆっくり美味しい昼食を頂いた後、残って絵を描く人、帰路につく人、それぞれ自由に行動しました。私は土産に駅前のテントで売っていたみかんと餅を買ってフェリーに乗り込みました。フェリーは10分おきに運行していて、約10分でJR宮島口駅と宮島とを結びます。帰りのフェリーも人が多かったですが、宮島口に着くと、まだこれから宮島に向かう人達が長い列をつくってフェリーを待っていました。ここは本当に人気の場所です。多分京都、奈良と並んで西日本で1,2を競う観光地ではないかと思います。
 
帰宅してから今日描いた五重塔についてインターネットで調べてみました。室町時代創建の国指定重要文化財です。江戸時代以前に作られた古い五重塔法隆寺五重塔を筆頭にして全国に22あり、その中で、この厳島神社のものは古い方に属します。私がよく描く備中国分寺五重塔も22の塔の中に入りますが、江戸時代創建なのでこの中では一番新しい塔です。また、ふつう五重塔はお寺にあり、神社にあるのは珍しいです。厳島神社五重塔は、正式には厳島神社の末寺である豊国神社の五重塔で、厳島神社の管理下に置かれているようです。
 
今日のスケッチもとても満足しました。行きのJR列車の中では、若い女性に席を譲られてほのぼのとした気分になりました。肝心な国宝・世界遺産厳島神社本殿には(今日の参加者全員が)参らずじまいでしたが、またいつかシーズンオフで人の少ない時期に来たいと思います。実際にはなかったのですが、次のような場面に出会うことを期待しながら・・・・。
 
「もみじ葉の まんじゅう食べる 子鹿かな」


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ウオーターフォード水彩紙 F6 中目 2枚
青墨筆ペン
シュミンケ固形水彩絵の具
所要時間:2時間30分