わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

秋の陽を 浴びてきわだつ 土蔵かな

2018年10月
 
智頭(ちず)急行線で兵庫県佐用(さよ)郡の平福ひらふく)に来ました。平福は旧因幡街道の宿場町です。山陽本線の上郡(かみごおり)駅で普通列車に乗り換えて5駅目。智頭急行線はJRではないので、切符を上郡駅で改めて買わなければならないのがやや不便です。ICカードは上郡駅では先月9月に使えるようになりましたが、智頭急行線ではまだ使えません。
 
無人の駅に降り立つと辺りは静かな水田地帯。とてもきれいな場所です。稲刈りを間近に控えた水田の向こうに目的地の宿場町が見えています。駅を降りた人は私を含めて3人だけ。観光地なのに意外な人の少なさにちょっとびっくりしました。期待に胸膨らませて、きれいな土壁の建物が見える方へ急ぎました。


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見えて来たのは佐用川沿いに立った古い町家の土蔵群です。400年の歴史とか。いかにも絵になりそうな風景です。すぐに対岸の日陰の場所にイーゼルを立てました。スケッチしていて気がついたのは秋の陽を浴びて土壁に映る屋根の影の美しさでした。かなり夢中になってスケッチ。
 
            刻々と 移ろう影や 秋の空
 
途中、声をかけてくれた地元の人の話では、今はちょうど稲刈りの時期で田んぼに水を張る必要がないので、佐用川の水は下流へ流れっぱなしだとか。そのため、川底が見えるほど水が減っているのでした。よく写真にでているのは佐用川の水に写り込んだ黄土色の壁の土蔵群ですが、今日はあいにくそれは描けません。


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絵を描いている間にこの場所を訪れた人は全部で10人ぐらいでした。こんなに素晴らしい場所なのに、もったいない気がしました。10時から描き始めて午後1時になり、お腹が空いたので予めチエックしておいた町家群の中にある手打ちそばの店に行きました。しかし、観光客が少ない平日のせいなのか、「今日のそばは終わりました」という紙が店の前に貼られていてがっくり。それなら近くにある道の駅に行って、弁当でも買ってついでにクリやその他の農産物でもお土産にしようと思い、そちらへ歩いて行ってみたら何と「本日定休日」。毎週水曜日が定休日なのだそうです。
 
            食べそびれ 見上げる彼方 秋の空



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ここでかなりダメージを受けて、それでも何か食べ物屋さんはないかと探したら、小さなお好み焼き屋がありました。「すぐできるのは何ですか?」と聞いたら、年配の女性が「今は、これしかないです」と言ってたこ焼きを指さしました。「ああ、それでいいです」と私。「有難う。300円です」と女性。多分80歳ぐらいの人ですが、とてもやさしい人でした。たこ焼きを食べるのは多分30年ぶりぐらいかな。誰もいない駅の待合室でたこ焼きの包を広げて食べました。美味しい!空腹なのでなんでも美味しいです。これも旅の大事な思い出です。今日は日差しが強くて日焼けしました。
 
            たこ焼きを 食べて汽車待つ 秋の空


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今日の下手な俳句は「秋の空」でまとめてみました。




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ウオーターフォード水彩紙 中目 F6 2枚
青墨筆ペン
シュミンケ固形水彩絵の具
所要時間:3時間