南禅寺　鍋の湯気立ち　紅葉（もみじ）狩り　（京都府京都市左京区　泉屋（せんおく）博古館・南禅寺・永観堂　水彩スケッチ）

２０１７年１１月

紅葉の美しい京都に来ました。今日の目的は１２月３日まで泉屋（せんおく）博古館で開催されている「木島櫻谷（このしまおうこく）近代動物画の冒険」展を観ることです。いつも京都に来ると、観光客で満員のバスを避けて地下鉄を利用することが多いのですが、今日は地下鉄駅から歩く距離を考えてバスにしました。京都駅前の市バス１００系統で「宮の前町」下車。バス停はやはり朝から観光客で長蛇の列。しかし、バスが次々来るので、幸い空いた席に座れました。

木島櫻谷は明治から昭和にかけて活躍した京都の日本画家で、精緻な動物画を沢山描いた人です。ちょうどNHKのEテレ日曜美術館で櫻谷の京都での展覧会の紹介があり、是非本物を見たいと出かけることにしました。泉屋博古館は住友のコレクションを展示する美術館で、南禅寺の近くのとても恵まれた環境の中に建つきれいな美術館です。開館前から、入り口には多分テレビを観て刺激されたと思われる木島櫻谷ファンが列を作っていました。

入り口の階段を登って、広々とした中庭を見ながら展示室の方へ。展示室の重いガラス扉を押して中に入ると、そこはみごとな動物画の世界。まず櫻谷の青年期の作品。鷲、虎、熊。圧倒される写実の素晴らしさ。筆による巧みな線描。京都の動物園に通い詰めてスケッチをしただけあって、大きな屏風絵が大迫力です。そして壮年期、更に晩年に近い頃の作品へと続きます。鶴、猫、猪（いのしし）、鹿、狸（たぬき）、鶏（にわとり）、兎（うさぎ）。この人、本当に動物が大好きだったんですね。中でも圧巻は大正元年に描いた「寒月」。雪の積もった竹林を照らす白い月。雪の上をトボトボと歩く狐。横長の屏風に描かれた黒と白の冬の風景が見事です。そのモノトーンの世界の中で、狐の茶色が狐の存在感を強調しています。日本画なのに洋画のような雰囲気。圧倒されました。

多数のスケッチブックに描かれた動物素描も、とてもよかったです。

大満足して、美術館を後にして南禅寺へ。まずお腹が減ったので有名な南禅寺の湯豆腐に初挑戦することにしました。南禅寺の近くには湯豆腐を食べさせる店がたくさん並んでいます。しかしお昼時でどこも多くの人が外で順番待ちです。せっかくここまで来たので、きれいな紅葉の庭のある店で順番待ち。その間に、持ってきた水彩スケッチの道具を取り出して庭のスケッチをしました。

やがて名前を呼ばれて店の中へ。席について迷わず湯豆腐を注文しました。豆腐の入った大きな土鍋がきて、ガスコンロに点火。店の人のOKがでるまで蓋を開けずにじっと我慢です。そしていよいよGO!　「ああ、これが南禅寺の湯豆腐かあ」。とてもあたたかくて素朴な味でした。しかし湯豆腐だから味付けは柚子と醤油でシンプル。いつも家で食べてるのとそれほど変わらない感じ？！　でも湯豆腐だけでお腹いっぱいになるというのは得難い経験ですね。前菜や田楽豆腐、茶碗に少しだけよそおられた松茸ご飯（当然御代りなし）もとても美味しかったです。

店を出て南禅寺へ。巨大な南禅寺三門をくぐると広い境内は大勢の人で賑わっていました。紅葉がきれいです。

急ぎ足で建物を拝観して次は永観堂へ。有名な紅葉の名所です。途中、狭い道路の両側に中学校・高校の建物があり、生徒さんが本を抱えて小走りに車や観光客で混み合う道を横断していきました。普段これだけ車や人が多いと、ちょっと落ち着いて勉強できないかもしれません。永観堂の中も人また人。庭の紅葉はさすがに評判通り。

古い建物と紅葉のコンビネーションが素晴らしい。多くの外国人観光客もしばし呆然と見とれる美しさです。

秋の京都はやはり素晴らしい。外国人が毎年「世界一の観光都市」と評価するのもよく分かります。

帰宅して、インターネットで新聞記事を見ていたら、「京都市左京区永観堂町の中学・高校の建物にイノシシ」という動画ニュースを発見しました。学校の階段の踊場におかれたゴミ箱にイノシシ一頭が頭を突っ込んでいます。それを多分スマホで動画に撮っている生徒の声。やがてイノシシの姿が見えなくなり、「どこに行ったんやろ？」とスマホの画面を左右に振るうちに、自分たちがいる階上に向けて階段を突進して登ってくるイノシシに気がつく生徒。「やばい！やばい！やばい！」の大声とともに、画面が乱れに乱れて、それでおしまい。思わす笑ってしまいました。私が歩いたあの永観堂の近くの道の両脇の中学・高校の生徒さんのビデオでしょう。

永観堂　イノシシが出て　いい感動。