わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

リアリティ たっぷり過ぎて 絵にならず (岡山県倉敷市玉島)

2015年10月
 

スケッチに訪れた倉敷市玉島。江戸時代の面影を今に伝える魅力的な町です。江戸時代の禅僧である良寛ゆかりの円通寺、里見川と溜川(ためがわ)の合流するあたりに発達した旧玉島港、古い商家が立ち並ぶ町並み、そして溜川周辺の民家や古い商店街など、見どころが沢山あります。映画「三丁目の夕日」のロケ地としても有名になりました。特に溜川周辺に見られる民家はよく写真に撮られたり絵に描かれたりします。

 

しかし、町の通りをゆっくり歩いてみると、この町にある古い商店や住宅の幾つかは住む人が居なくなり、荒れるままになっているのが分かります。ちょっともったいないですね。市や県が維持管理をするのは多分無理なのでしょうね。壊れかかった家を絵に描きたい気もしますが、ちょっとこれはリアル過ぎます。


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この町だけでなく、全国どこでも、東京周辺でも田舎でも、似たような状況が起きていると思われます。いったんこのような家が壊されてしまうと、当然もう後には戻れなくなって、これまでとは全然違う町になってしまうのですが、そんなに簡単に古いものを捨ててしまっていいのでしょうか。

 
10月10日にNHKで放送された「私が愛する日本人へ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」では、キーンさんが「日本人は古い歴史的なものに冷淡だ」と日本人の特質を述べておられましたが、確かに欧米に比べると、日本人は古いものを大事に守ろうとする気質が弱いかもしれません。町に大きなビルが建って町が奇麗になると嬉しい、というような感覚が日本人の中にあるとすると、将来日本中どこに行っても同じようなビルの立ち並ぶ小ざっぱりした町だらけになってしまうのではないかと心配です。


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