わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 「人生の風景 横山操 画文集」(新潮社)

2015年10月11日
 
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本を開いた瞬間、画面いっぱいに広がる荒々しい黒い筆のタッチに圧倒されます。そしてこの人の文章を恐る恐る読み始めると、その強烈でしかもある意味過激な主張に再び圧倒されます。絵は人柄を表すというか、人の生き方を表すというか、本当に絵からこの横山操という人がよく分かる気がします。100ページ程の大判の本ですが、絵を見ながら一気に読み通しました。画文集というのは、本当はこういうものを言うのかもしれません。絵と文章で読者に強烈な「ダブルパンチ」を与えます。文章は、現在(といってもこの本が出版されたのは昭和61年ですので、今から30年~50年ぐらい前なのですが)の美術界やプロの芸術家への批判に満ちています。



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本の内容は、「武蔵野を歩く」、「ふるさと 思い出の地」、「中国を旅する」、「アメリカの印象」、「わが絵 わが人生」、などです。

 

横山操は大正9年新潟県生まれ。川端画学校日本画部入学。太平洋戦争で中国大陸各地を転戦。終戦後、シベリア抑留。復員後、青龍社に入会。その後脱退。46歳で多摩美日本画家教授となる。51歳の時、脳卒中で倒れ右半身付随。左手で制作を始める。53歳で再び脳卒中で倒れ、死去。


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この人、激しく生きて、強く自己主張をして、あっという間に死んでいった画家のようです。この人の筆の迫力にはびっくりします。書きなぐりみたいなところもあるけれど、でもよく見るとすごく情緒があります。日本人の頭で構想し、日本人の手で制作し、日本的なものを表現することに全てをかけた人だと分かります。私の水彩画も日本画の筆の線で描く絵なので、この横山操の絵から学ぶことは大きいです。



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