リアリティ たっぷり過ぎて 絵にならず
2015年8月
急激な人口減少で、地方では限界集落が続々出現。ここ岡山県でも山間部を中心に1,400カ所余りの集落がやがて消えてなくなるだろうという厳しい状況です。私がよく歩く近所の散歩道沿いにも長く住む人がいなくて空き家になったまま朽ち果てて行く家が何軒かあります。古い農家で姿のいい家が多いので、水彩スケッチで残しておきたい気もしますが、近寄ってよくよく観察すると「ちょっとこれはリアル過ぎて絵にならないなあ」といつも通りすぎるばかりです。
家を壊して更地にするのにもかなりの費用がかかります。その費用が払えないので、古い民家が放置されているのです。空き家問題は東京などの大都市でも問題になっていて、放置された土地や建物に買い手がつかず、そのような場所が大都市周辺にどんどん広がっています。アメリカのデトロイト市は財政破綻してゴーストタウン化していることで有名ですが、最近ニューヨーク・タイムスの記者が横浜・横須賀地域の空き家を取材してその多さに驚き、いずれ東京の周辺もデトロイトのようになるのではないかと、心配して新聞で報じています。
「美しい日本の風景」の陰にこの現実。これも見逃さず、絵に残していくのも絵描きの使命かもしれません。