わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

ロンドンは 夏でも朝晩 肌寒い (ロンドン ハイドパークとロイアルアルバートホール水彩スケッチ)

2015年7月8日

 

朝は携帯電話の目覚ましがいつものように5時に鳴り,寝不足なのですが無理やり起きました。携帯電話は便利で,自動的に海外の現地時間に表示が変わります。これは本当に助かります。腕時計も現地時間に合わせました。

 

海外に行ったときには朝日を浴びると体内時計が現地時間にあわせてリセットされてはやく時差ぼけから解放されるといいます。昨晩の火事騒ぎがあったので,カーテンは半開きにして寝ていました。そのせいで朝5時には朝日が私の顔に当たり,朝が来たのが分かりました。ロンドンの夏は夜明けも早い。夏は夜の時間が6時間ぐらいしかないことが分かります。その逆に冬にロンドンに来ると夜明けが朝9時頃で日没が午後3時頃になります。

 

シャワーを浴びて,着替えて朝6時過ぎにホテルのレストランへ。このレストランは朝5時半開店です。すごく早いです。メニューは「イングリッシュ・ブレックファースト」というバイキングで自分で皿に好きな物をとるスタイル。ざっと眺めるとうきうきする位豪華なメニューです。特にハム,チーズ,パンは日本と違って大量に置かれていて,これがイギリスの食事で一番大事なメニューであることがわかります。眠たいのも忘れて朝からお腹いっぱい美味しい物を食べてしまいました。どうもこの辺の「がさつさ」は年齢には無関係に出てきてしまいます。


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私は若い頃にロンドンのインペリアルカレッジという大学に1年間だけ留学したことがあり,今日はその大学でお世話になったBarber教授の75歳の誕生日を祝うパーティがあるのです。今朝はまず自分でホテルからロンドンの中心部に向かって歩いて,今日の夕方開かれる大学の同窓会会場にどうやったら行けるのか確かめることに決めていました。夜は多分10時ぐらいに一人で夜道をホテルまで帰ることになるので,あらかじめ歩いて帰る道を知っておく必要があったのです。

 

スニーカーを履いて帽子をかぶってホテルを出ると風が冷たい。「わあ,こんなに冷えるんだ」と思いながらすぐにウインドブレーカーを手提げ袋から取り出してそれを着て暖かくして歩き始めました。


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オールド・ブロンプトン・ストリートという通りをロンドン中心部へ向かって東に歩きます。この通りは以前に一度も来たことがなく初めてです。街には古い家並み。どの家をとっても絵になる感じですが,こんなにどの家も立派な作りだと,逆にどの家を描いていいか分からなくなりますね。朝の通勤の人たちや通学の子供達が通りを早足で歩き,道路には忙しく2階建てバスや自動車が走るまさにロンドンの風景です。「ああ,ロンドンに久しぶりに来たなあ」と感動しながら歩きました。


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この道を30分ほど歩くと地下鉄のサウス・ケンジントン駅です。久しぶりにきたこの駅。留学中は地下鉄でロンドン北部からここまで1時間毎日通勤していました。途中,ピカデリーサーカスやバッキンガム宮殿のそばを通り抜ける毎日。今岡山の田舎に住んで毎朝田んぼを見ながら散歩をしていることを思うと,考えられないような生活でした。


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サウス・ケンジントンからハイドパークに向けて北に延びるイグシビション通りをしばらく行くと左手に大学が見えて来ました。もう懐かしさで一杯です。イギリスは基本的には街に大きな変化がありません。大学の付近も昔とほとんど同じ雰囲気です。新しい通りがどんどん出来て街の様子が激変する日本とは大違いですね。このあたりのことを日本人はもっと考えなければいけないと思います。古い歴史的な建物を残す。歴史的景観を残す。これはイギリスをはじめとするヨーロッパに大いに学ばなければなりません。



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大学の窓からよく眺めたロイアルアルバートホールのところにやってきました。やはりこれは水彩スケッチしておきたい。それでいったんハイドパークの方へ行って,その公園内からロイアルアルバートホールと大学の一部をスケッチすることにしました。ハイドパークは広大な公園です。その中のベンチに座ってF6サイズの水彩紙に2時間で絵を描きました。途中,雲が出て気温が下がり,ちょっと風邪でも引きそうな寒さだな,と思いながら絵を仕上げました。


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途中,絵を見てくれる人もちらほらありました。でも皆あまり関心を示さないで,ジョギングをしたり,散歩をしたりしていました。


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この日は,一度ホテルに帰り,夕方きちんと正装をしてまた大学に出かけました。会場では35年ぶりに会う人たちと握手したりハグしたり。皆私のことをちゃんと憶えていてくれました。しかし会って確かめ合うお互いの姿の変化にやはり時の流れの速さを感じました。Barber教授は大腸がんを患っておられ,杖をつかないと歩けない状態でした。声も弱くなり,めがねも片方がわざと磨りガラスになっているものをかけておられました。両目を使うと焦点が合わなくなるのだそうです。頭も手術されたようで,手術の跡が見えていました。私が会場に行くと玄関前で歓迎して下さり,しっかりハグして「君はやさしいねえ。わざわざ日本から来てくれて有り難う」と言って下さいました。もう多分これでお会いするのは最後になると思うと私も胸がつまって余り言葉がなく,「どうもいろいろと有り難うございました」と返事をするのが精一杯でした。