捨てていく この清々(すがすが)しさが たまらない (静物 水彩スケッチ)
8月9日付けの朝日新聞に、フィンランド映画「365日のシンプルライフ」が紹介されていました。物であふれた自分の部屋に嫌気がさし、自分の持ち物を全て貸し倉庫に入れて、一日一品だけ必要な物を部屋に持ち帰る生活を始めた若者の話です。最初の日は雪の中を裸で自宅から倉庫まで走って行き、まずコートを身につけ、それから毎日、本当に必要なものだけをその倉庫から取り出して使い、1年間食料以外は何も買わない生活を続けました。
私もいつも、自分のまわりにいらないものが多すぎると感じています。今年3月の退職の時、職場は勿論、自宅でも衣類や本など、かなり整理し処分しましたが、まだまだ不要物が多すぎます。それでこの4月からは毎週週末に少しずつ片付けをしています。少しずつやっていけば、いざというときに慌てなくて済むでしょう。この片付け、意外と楽しいです。いらない贅肉が削ぎ落とされる感じです。捨てる物の中には思い出が詰まったものも沢山あるのですが、思い切って捨てると気持ちがスッキリします。
しかし、捨てるにはもったいないものもあります。 町内を巡回する「何でも回収車」に頼んで持って行ってもらうのもいいのですが、できればフリーマーケットなどに出して、少しでも使いたい人に使ってもらうのが一番です。アメリカでは、どんな町でも各家庭がガレージセールと言って自分の家で使わなくなったものを休日などにガレージに並べて近所の人たちに安く売るということが見られました。これができれば、使えるものを顔の分かった人に渡せるので気持ちがいいし、衣類や本などの小物の他に、なかなかフリーマーケットまで運べないような大きなものも売れるのでいいのではないかと思うのですが、日本ではなぜかこれが広がりません。
それと、人間は退職する歳になると、物だけではなくて自分の過去の肩書やプライドなども捨てなければならないでしょう。現実にはこれはなかなか難しいですが、それができると本当のシンプルライフの実現です。
これに関連して最近まとめ読みした本。
「持たない贅沢」山崎武也著 (三笠書房)
「禅 シンプル生活のすすめ」枡野俊明 (三笠書房 知的生き方文庫)
特に2つ目の「禅 シンプル生活のすすめ」では、ボーッとする時間をもつ、朝の空気をしっかり味わう、デスクの上を整える、一杯のコーヒーを丁寧にいれる、裸足で生活してみる、夕焼けを眺めに行く、息をゆっくり吐いてみる、など具体的にシンプル生活の実践的内容が書かれています。
今日のスケッチは、やっと色づきだした我が家のぶどうで、一筆描きです。ぶどうの実のツルツル感が出せませんでした。また次回挑戦します。