わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

内子座の 三味の音色が 夏告げる (愛媛県内子町 内子座水彩スケッチ)

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バススケッチに参加し、愛媛県の内子(うちこ)町に来ました。内子に来るのはこれが2度目です。もう10数年前に、内子に一泊して、内子座(うちこざ)の文楽公演を見たことがあります。最前列の升席で、初めて目にする文楽。人形の表情と義太夫節の語りの巧みさ。三味線の見事な音色。それらに大変感動したのを今でもおぼえています。講演のあとで、楽屋になっている建物の裏にも回って、役者さんや裏方さんの姿を見たりもしました。



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今日はそれ以来久しぶりの内子訪問。前回はJR内子駅から内子座に歩いて行きましたが、今回は町外れのバス駐車場から町並み保存地区を通って15分ほど歩いて内子座に着きました。スケッチははじめから「内子座」と決めていたのですが、いざ内子座に来てみると、建物の前にあまりスペースがなく、内子座の全体を描くことは無理なことが分かりました。仕方なく、しかし諦めずに、内子座を見上げるような角度で描くことに決めました。しかしF6で見開きという自分の特徴を出すいつものスケッチとなると、かなり限られた立ち位置になります。今回私が選んだスケッチの位置は、通りから内子座に入るちょうどまわり角、そこは観光客がいやでも私の絵を見ながら内子座の方へ向かう場所でした。多分こんな位置取りは、私一人のスケッチ旅行では気後れしてとても出来ないのですが、バススケッチでお仲間さんがいるおかげで、大胆にもそこにイーゼルを立てて、立ったままでスケッチを始めることができました。


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こんな場所のおかげで、今日は沢山のギャラリーに絵を見てもらいました。とにかく内子座に来る人は団体さんも個人のお客さんもみんな私の絵の前を通すぎて行きます。内子座の従業員の方も、近所の方も見てくださいました。「こんな絵、私には死んでもかけない!」とかわいい声がするので、振り返ると、通りがかりの地元の小学生の女の子2人でした。「君たちの方がきっといい絵が描けるよ!」と返事しました。実際、小学生の絵の方が大人の絵よりもずっと面白いことがよくありますよね。2時間半ほどのスケッチでしたが、バス出発までの時間内に何とかある程度のところまで仕上がりました。今日は愛媛県地方の最高気温27Cで、暑さを心配しましたが、風もあり、湿度は少なく、スケッチには最適でした。生憎日陰が無くて日向でのスケッチでしたが、帽子を深くかぶり、透明サングラスを持参したので目も痛くならず、無事スケッチを終わりました。最後に、講師の先生に全体のスケッチを見て講評していただき、いつものように全員、それぞれ良い点をほめられ、励まされて、楽しい1日が終わりました。


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最後に、今日のバススケッチでは、私のブログを読んでくださっている人が何人かいることが分かりました。「どうして 芋宇ただし なんですか?」と聞かれたのですが、これは私が、江戸時代に日本全図を作製ながら旅した、かの「伊能忠敬」のように日本中を回りたい、と思って考えついたペンネームです。「いのうただたか」を現代風にアレンジして「いもうただし」となりました。私が中学生になった時、最も感動したのは帝国書院発行の社会科教材、「日本・世界地図」でした。今でも、地図帳の1ページ1ページをめくるごとに匂ってきた独特の印刷のにおいが忘れられません。以来、中学、高校の得意科目は地理でした。高校の時は、将来は国土地理院に入って地図の編集をしたいと真剣に考えたりしましたが、国立大学で地理学が勉強できるのは超難関大学の理系学部だけと知って、諦めました。美術や国語、社会が好きで完全に文系志向の生徒だったのに、どういう運命のいたずらか、入学した大学の学部は理系学部で、それ以来、中学・高校で一番苦手だった理系の科目を勉強させられ、その後理系の仕事に就いて40年、間もなく定年を迎えようとしています。

この年になって、もう一度美術と地理・歴史を勉強したいという思いが、私を小さなスケッチの旅に向かわせています。 「いもうただし」になった時には、今までの仕事のことや経歴は完全に忘れています。人間って、いろいろあって、面白いですね。