わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

紅葉が 弁柄色と 競いおり (岡山県高梁市 吹屋(ふきや)小学校と吹屋の町並み 水彩スケッチ)

201211

 

日本で最も古い木造校舎をもつ現役の小学校で、つい最近閉校となった吹屋(ふきや)小学校が113日、4日に一般開放されると聞き、岡山県の県北、高梁(たかはし)市の吹屋(ふきや)の町に来ました。吹屋は弁柄(べんがら)の生産と販売で江戸時代(1707年)から栄えた町です。現在は、国の重要伝統的建造物群保存地区になっています。


イメージ 1


 伯備線備中高梁駅で下車し、バス50分で吹屋到着です。高梁からのバスの便が少ない(午前中23便)ので注意が必要です。バスは高梁市内を抜けて高梁川沿いの国道をしばらく進み、やがて山の中の道に入ります。山道はきれいに整備されていますが、カーブが多く、ところどころ対向車との離合が難しい場所があります(普通車同士は大丈夫)。場所によってはバスがバックするのには驚きました。バスの運転手さんはさすがに慣れたものです。山はもうきれいな紅葉が始まっていました。

 
山道が切れて人家が多くなり、やがて急に華やかな町に入り込み、びっくりします。吹屋の町並みです。今日は町の秋祭りも行われているらしく、それもあって狭い通りが観光客で溢れかえっていました。バスは、通行人を避けながらゆっくり終点に向かいます。バスを降りると、わあ、素晴らしい!江戸の鉱山で栄えた町並みが目の前にあります。弁柄とは酸化第二鉄をふくむ深い赤色の顔料のことです。つまり鉄さび色ですね。吹屋は、江戸時代、日本で唯一の弁柄の産地だったようです。それで、それを商売にする人たちがこんな見事な町並みを作ったわけですね。

イメージ 2


 まず、目的の吹屋小学校に行きました。ちょうどお昼時だったので、早めにすぐ近くの研修・宿泊施設で昼食。今日はちょっと豪華に、地元、千屋(ちや)牛の焼肉が少しだけついた定食です。レストランはきれいで、吹屋小学校と裏山の紅葉が眺められるよい場所でした。ここは元の吹屋中学校を改造した建物だそうです。

イメージ 3


沢山の観光客が訪れる吹屋小学校の前を避けて、通りをはさんでやや遠景でスケッチ開始です。それでもかなりの人通りがあり、私のスケッチを覗いていかれました。順調にスケッチは進んだのですが、山影の場所だったので1時間もするとだんだん寒くなってきました。これからは、野外スケッチは寒さとの戦いになるなあと思いながら、スケッチ完了。交通整理をしていた町の若い職員の方が、冗談半分に「小学校に展示しませんか」と言ってくださいました。うれしいですね。


イメージ 4


 それから小学校の内部を見学。昔ながらの教室。講堂は大きくて、床はぴかぴかでした。それから、吹屋の町並みに出かけて、スケッチしました。立派なカメラを持った人が多いこと。スケッチする人は私以外見当たりません。古い家の前に広い駐車場があり、車が入っていなかったのを幸いに、座り込んでスケッチ開始。今度は太陽を背に受けてポカポカと快適なスケッチです。若い女性のカメラの人がスケッチを見に来て、「町の広報ですが、写真を撮ってもいいですか」と聞かれました。「ええ、どうぞ、どうぞ」。 どこでも「スケッチする人」はカメラの被写体にいいようです。

イメージ 5

イメージ 6



そのうち、ボンネットバスがちょうどスケッチをしている通りを通過しました。懐かしい形です。このバスが町を回って観光客を運んでいます。大人気の被写体です。


イメージ 7


 吹屋の町は、家ものれんも、何もかもが弁柄色に染まっています。蔵の壁まで弁柄色です。深い赤が町中を染めて、折しも始まったばかりの山々の紅葉と競うように華やかな色合いを見せていました。こんな山の中に、見事な町が昔のままの姿で残されています。