わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

愛されて みんなの誇り 無人駅 (岡山県総社市 伯備線 美袋(みなぎ)駅 水彩スケッチ)

201211

 

伯備線の美袋(みなぎ)駅に来ました。伯耆の国(鳥取県)と備中の国(岡山県)を結ぶJRの鉄道が伯備線です。その美袋駅ですが、どう考えても「みなぎ」とはすぐには読めませんよね。この駅は総社駅から3つ目の駅で、総社駅備中高梁駅の中間に位置しています。JR倉敷駅から、普通電車で30分弱で着きます。


イメージ 1


 なぜここにスケッチに来たかというと、この駅は鉄道マニア必見の駅だからです。国の有形登録文化財に指定されています。有形登録文化財とは、主に明治以降の近代の建築物の保護のために設けられたもので、東大安田講堂など全国で多数の建築物が保護の対象になっています。美袋駅の駅舎は1925年(大正14年)に建てられたものが、ほとんどそのままの形で残っているそうです。私は鉄道マニアではありませんが、この駅の噂は前から聞いおり、一度来てみたいと思っていました。



イメージ 2


イメージ 3


 今日は朝から秋晴れの好天です。秋が深まり、昨日あたりから朝晩は相当冷えてきました。駅に降りたのは2人だけ。駅は無人駅でした。しかし、きれいに掃除が行き届いているのがよく分かります。まず、お手洗いを借りましたが、無人駅から予想したのに反して、男女別のきれいなトイレでした。便器もきれいに磨かれています。さっぱりした気分で、駅のななめ前からスケッチ開始。ちょっとスケッチ位置が近すぎたせいで、全景を無理に入れようとして、描き上げてみると横のサイズがやや小さくなってしまいました。公衆電話ボックスも入らなくなりました。実物は小ぶりながらも、もう少し堂々としています。



イメージ 4


 今日は、ギャラリーが来るわ来るわ。と言っても、駅前のタクシーの運転手さん2人と、お店のおばさん達なのですが、田舎なので話相手が欲しいのか、あるいはこんな朝からスケッチをしている他所のおじさんが珍しいのか、どんどん遠慮なしに話しかけてきます。「僕は、あと1時間後の電車で移動するので、大急ぎで描いているんですよ!!」というのですが、一向にお構いなく、おしゃべりがどんどん続きます。私の周りを囲んだ34人のおじさん、おばさんが、最近美袋駅を見に来た「テレビに出ている自転車で日本中を回っている俳優さんの話とカメラクルーの話」でかなり盛り上がってくれました。「もうすぐ美袋がテレビに出るでえ。私らも映るじゃろか?」。私は実際45分しかない時間を水彩スケッチに集中したいのですが、なかなか自由にしてくれません。まあ、こんなのも、会話が豊かで楽しいですね。おまけに、この駅の周りの桜の写真があるから是非見て行ってくれと言われて、一人のおばさんにスケッチが終わると駅前の小さな店に引き込まれました。たしかに、右近桜といって薄黄緑色の八重の桜の写真が玄関に飾ってありました。その他に美袋駅を取り上げた新聞記事の切り抜きも貼ってありました。駅の掃除も、トイレの掃除もみな近所の人達がするとか。みんなに愛されているから、今日までこんなれレトロな木造駅舎が保たれたわけですね。駅の近くの大きな建物といえば、駅のすぐ目の前の小学校と保育園で、子供たちも駅の花の手入れなどをしているようです。「私ら、ここがええから、もうどこにも行きとうねえなあ。美袋が一番じゃ」。これがおばちゃんたちのメッセージでした。



イメージ 5