わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

東海道 有松絞りと 町屋敷 (愛知県名古屋市 有松絞りの商家 水彩スケッチ)

 201210


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有松(ありまつ)絞り(しぼり)で有名な名古屋市緑区有松にやってきました。名古屋から名鉄電車で20分。有松駅で降りると、新しいショッピングセンターが駅に隣接していて、こんなところに昔の町並みが本当にあるの?と一瞬とまどいます。しかし、駅前から歩いてすぐに旧東海道に沿った有松の町並みが現れます。「江戸時代の東海道の町並みが奇跡的に残されている」とガイドブックの説明にありましたが、まさにその通り。朝が早いので人通りが少なく、私の目の前にまさに奇跡の東海道の出現! 旧東海道らしい町並みをまともに歩いたことのない私は、この風景を目の前にして、「わあ!素晴らしい!」とおもわず歓声をあげていました。古い立派な町屋が立ち並ぶこの風景は感動的です。この町並みは何としても保存して後世に残していただきたいものです。


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 町並みの中心にある有松絞(しぼり)会館に差し掛かったところで、会館の女性が、私が重そうな旅行用キャリアーバッグを引っ張っているのを見かねて、荷物を預かってくださいました。やさしい方です。荷物をあずけて、もう一度来た道を引き返し、ゆっくりと町並みを散策。800メートルも軒を連ねるという塗籠(ぬりごめ)造りの町屋は本当に素晴らしい、の一言です。どこを描いても絵になります。朝日の強い時間帯なので、通りの両側のうち、明るく照らされた側を描くということで、結局、絞会館から見た井桁屋(いげたや)を描くことにしました。井桁屋さんは江戸時代に建てられ、今でも有松絞を扱う大きな商家です。

 

日が高くなるにつれて、蔵や屋敷の壁にかかる影がどんどん動いていきます。秋の日差しを浴びて、日の当たる部分と影の部分のコントラストがはっきりしています。早めに影の部分を暗い絵具を作って塗っていきます。それから白く残す部分と明るく輝く部分を見極め、明るい部分には薄く黄色の色を置きます。

色を濁らせない工夫が大事です。観光客もどんどん増えて、時々私の絵をのぞいていきます。1時間半でスケッチ完成。午前のやわらかい日の光を背中に浴びながらの心地よいスケッチでした。描いたものをみてみると、これはまるで安藤広重東海道五十三次の雰囲気です。不思議ですね。急に、平成の安藤広重葛飾北斎を目指したい気分になります!!


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荷物を預かっていただいたお礼に、絞会館で風呂敷とタオルハンカチを購入。ついでに有松絞りの実演を見学しました。指先の仕事の現場を見せていただくと、女性の仕事の手仕事の大変さがよく分かります。座ったままの姿勢で朝から夕方まで続けて作業をするそうです。出来上がったものの中では、とくに昔ながらの藍染の絞が見事です。この伝統的なブルーで染めあがったものは何とも言えない美しさですね。ついでに今描いたばかりの私のスケッチを絞会館の女性の人達にみて頂きました。「わあ、こんな短い時間にもう描いたんですか?」と驚かれました。

 
お昼は通りの古い店でうどん定食を頂きました。うどんに強い腰があるのは相かわらずで、歯でなかなか噛めないような太いうどんですが、なかなか美味しかったです。一緒にうどんにのせるものに八丁味噌、きのこ、などが選べたのですが、今回は味噌は初めから避けて、きのこにしました。

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 せっかく有松絞りの店を水彩スケッチしたので、店を訪れてみました。昔の商家の雰囲気をとどめた独特の店構えです。記念に豆絞染の手ぬぐいを買いました。お店の方も私の絵を見て誉めてくださいました。次は、この手ぬぐいを首にまいてスケッチしたら、江戸の町人の気分でもっとかっこいいスケッチができるかもしれません。今回、広重の東海道五十三次を強く意識したスケッチ旅行になりました。

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