わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

セミの声 やんで二百十日の 朝となり

2019年9月1日

 

9月になりました。朝6時、部屋のカーテンを引いて窓を開けると、外から予想外に冷たい空気が入ってきました。今日は二百十日立春から数えて二百十日目にあたり、昔からこの時期に台風がよく襲来するので、稲作農家は暦に印をつけてそれに備えました。また、9月1日は大正12年(1923年)に起きた関東大震災の記念日。それで今日は「防災の日」となっています。

 

最近の朝の散歩道ではセミの声がピタリとやんで、代わりに草むらから秋の虫の声が聞こえます。日もだいぶ短くなりました。今日は朝から生憎の雨模様。毎月第一日曜日には町内の古紙回収があるので、朝7時ごろからダンボールや古新聞をひもで縛って玄関先に出します。しかし今日は残念ながら雨で回収してもらえませんでした。昼は簡単な食事の準備。昨日、絵の仲間から3枚におろしたスズキをもらったので、それをフライにしました。とれたての魚はやはり美味しい。午後は車で1週間分の食料品買い出し。帰宅後は1時間半かけて猫のマルちゃんのスケッチ。

 

f:id:yaswatercolor:20190902084606j:plain

 

先月から猫のスケッチをやり始め、かなり慣れてきました。鉛筆で、迷い線たっぷりの気楽なスケッチ。水彩絵具も薄塗り。生き物のやわらかさや優しさを出そうとすると、やはり鉛筆デッサンと薄塗りかなと思います。描いた猫が本物に似てくると嬉しくなります。

 

 

f:id:yaswatercolor:20190902084633j:plain

 

 

今日のマルちゃん

ラングトン水彩紙 中目 F8

鉛筆(HB)

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:1時間30分

 

こんな本読んだことありますか? 「水彩は、たのしい  作品と技法」(大場再生著、如月出版)

2019年8月31日

 

f:id:yaswatercolor:20190831073934j:plain

 

 

「絵を描く時には、技法書は見るな」とよく言われます。しかし、これから絵を始めようという時にはどうしても技法の本を見たくなります。水彩画関係でもいくつか優れた技法書があります。その中で、私が好きな本の一つがこの大場さんの本です。

 

表紙の絵は「街角のさざめき」と題された8月のスペイン・マドリードの風景です。光輝く街角。人々の賑わい。光と影を描く典型的な透明水彩画です。色をあえて塗らず水彩紙の白地を生かした大胆な光の表現。そして明るい影。本文中の文章もいい。『好きな場所との出会いは、いつも感動的です。頭で想像する以上の大きな驚きがあります。そこにしかない空気、光、におい、音、そして人々の活気や歴史の重み、この感動を描けたら何と幸せだろう、いつもそう思っています』。そして風景画に添えられている人物がとても自然。画一的でなく個性があって動きがある。なかなか真似できません。

 

最近の絵の技法書は見ていて楽しいです。自分の作品を発表しながら、そのついでに技法を紹介するというさりげなさがいいですね。水彩画は時間もお金もかからない。しかし、意外と難しくて奥が深い。鉛筆でのスケッチが好きな人なら、そこからまた一歩前に進んで水彩絵の具での彩色を楽しんでみてください。やがて色のマジックのとりこになることでしょう。

歯磨きは 人間磨きより 難しい

2019年8月28日

 

今日は歯医者へ行ってきました。2ヶ月に1回、歯のメンテナンスで歯医者に行き始めてもう20年。子供の頃、あれほど怖くて嫌だった歯医者さんに、今は何の抵抗もなく出かけます。

 

私は子供時代から成人して中年になるまで、歯の病気に悩まされ続けました。子供時代は戦後の食糧難時代。小学校時代はコッペパンとマーガリンと脱脂粉乳だけの給食。歯の成長に必要な栄養も足らなかったかもしれません。やがてお菓子屋さんの店頭に森永ミルクキャラメル、明治クリームキャラメル、カバヤキャラメル、江崎アーモンドグリコなどが出始め、甘いものに飢えていた私達は、歯磨きの習慣がないまま、これらのお菓子に飛びつきました。当然歯にいいはずはなく、私の歯は永久歯に生え変わった時から奥歯の大臼歯はぽっかり穴が空いた虫歯状態に。歯医者で何度も詰め物をしてもらいそれ以上の虫歯の進行は何とか食い止めたものの、人には決して見せたくない口の中でした。

 

30歳代前半で左右の大臼歯がだめになり、ついに抜歯。この時の喪失感は忘れられません。まだ若いのに大事なものを永久に失い、歯に関しての自分の暗い将来を予感して呆然となりました。それでもその時の歯医者さんの治療が良かったのか、ブリッジにしてもらった奥歯はその後35年以上たった今日まで働いています。ただし、50歳代前半で、そのブリッジの支えになっている歯の1本が歯槽膿漏に。その歯の歯茎を切除して歯根をきれいにする手術をうけて以来、今の歯医者さんで2ヶ月に1度のメンテナンスを受けているというわけです。

 

メンテナンスというのは、歯科衛生士さんが歯周病を防ぐためにやってくれる歯の掃除のことです。歯周病菌は嫌気性細菌(酸素が嫌いな細菌)の一種で歯と歯茎の間のポケットに棲みつくのですが、この歯周病菌の集まりである歯垢(しこう)を、先端から超音波を出す細い針のような道具で物理的に破砕するのが主な掃除の作業です(私は歯科医ではないので、細かい記述には間違いがあるかもしれません)。その後、歯ブラシを使った歯の掃除もしてもらいます。

 

私は、日々の歯磨きはどちらかというと神経質なぐらい丁寧にやっています。しかし、これがなかなか難しい。自分ではしっかりやったつもりでも、2ヶ月に1度歯医者さんでチェックを受けると、洗い残し10%、20%、30%など、厳しい数字を突きつけられます。これまで歯科医で歯磨きの指導を受けて分かったことをまとめてみます。

 

  • 歯の表面の汚れは意外とすぐに落とせる。歯と歯の間や、歯の下側は汚れをとるのが難しい。歯の曲面を意識して、歯ブラシの向きを工夫する。歯間ブラシも有効(というか、必需品です)。
  • 歯周病菌を除くためには、歯と歯茎の間のポケットに歯ブラシの毛先が当たることが肝心。
  • 小刻みに手を動かして歯ブラシの毛先がポケットにストンと入り歯ブラシを動かすと軽く痛みを感じるぐらいの場所をさがす。そこを丁寧にブラッシング。
  • 小刻みに手を動かすのが苦手な人は電動ブラシを使う。今は電池式の安い電動歯ブラシ(電機メーカー製ではなく歯磨きメーカー製)をスーパーで売っている(替えのブラシも同時に販売)。これがなかなかよい。
  • 歯ブラシは、ふつうか、柔らかめのものが歯茎にやさしい。硬いブラシで強くこすっても余り効果はない。歯を磨くというより歯茎のマッサージという意識が大事。歯磨きの時間も大事。ゆったりと時間をかけてやる。
  • 歯ブラシの毛先の摩耗は意外と早い。歯周ポケットに毛先が入っても何も感じないようなら新しい歯ブラシに変える(私の場合は2、3週間で新品に交換)。

 

歯磨きは生まれてこの方、何十年も毎朝毎晩続けているのに、いつまでも満足の行く結果が出ない。じつに奥の深い作業です。超高齢者になっても入れ歯の世話にならず自分の歯で食事を取るのが「至高(歯垢ではありません!)のシンプルライフ」だと思うのですが、このシンプルライフ実現のためには、子供時代からの絶え間ない努力がいります!そして定期的な歯科診療も必要です。歯磨きも何もしないで、歯が虫歯と歯槽膿漏で全て失われて、おまけに入れ歯も無くて、歯茎だけでご飯を食べる(飲み込む)。これもシンプルライフといえば究極のシンプルライフですが・・・(私の95歳の母は時々入れ歯をつけわすれて、歯茎で食べ物を噛んでいます!!すごい母です)。

 

 

f:id:yaswatercolor:20190829073413j:plain

 

今日のマルちゃん

ラングトン水彩紙 中目 F8

鉛筆(HB)

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:1時間30分

 

 

 

 

プラごみや 美しき海を 埋めけり

8月25日の朝日新聞の社説は、「脱プラは小さな一歩から」でした。最近、世界中の海に流れ込んでいるプラスチックゴミの量が海に生きている魚の量より多い、という驚きの報道がありました。今や廃棄プラスチックの問題が環境問題のトップになっています。スーパーでレジ袋はもらわない、なるべくペットボトル飲料は買わない、と私も最近は意識して努力しているつもりですが、それでもまだまだ不十分。回収ペットボトルについては、我が国は最近まで中国へ輸出。しかし、中国が受け入れ中止を決め、その後は大部分が再利用されず焼却処分されています。それは多量の二酸化炭素を排出し地球温暖化の原因になります。

 

私達は衣類、電化製品、プラスチックケース、食品トレイなどおびただしい数のプラスチック製品に依存して生活しています。これを減らせと言われても現状ではとても無理・・・。でも何か始めなければ社会は変わらない。「一人ひとり、出来ることから生活を見直そう」、と社説は述べています。

 

昨年の西日本豪雨では岡山県内でも多くの河川が氾濫し、川原に捨てられていたプラスチックごみが一気に瀬戸内海に流れ出ました。今、瀬戸内の島々は多量の漂着ゴミに悩まされています。水の入れ替わりが極めて遅い瀬戸内海がプラスチックごみであふれようとしています。

 

f:id:yaswatercolor:20190827073802j:plain

 

今日のマルちゃん

ラングトン水彩紙 中目 F8

鉛筆(HB)

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:1時間30分

こんな本読んだことありますか? 「文章のみがき方」(辰濃和男著、岩波新書)

2019年8月25日

 

f:id:yaswatercolor:20190825074522j:plain

 

「いい文章を書きたい」と思う人におすすめなのがこの本です。短い章が全部で38。それぞれの章が具体的な文章上達の「極意」をわかりやすく解説してくれます。各章の終わりには本文中で引用された本のリストがのっていて、参考になります。各章のタイトルは、「毎日、書く」、「歩く」、「辞書を手もとにおく」、「自慢話は書かない」、「具体性を大切にして書く」、「削る」、「文末に気を配る」、「動詞を中心にすえる」など、わかりやすいものばかり。しかし、内容には説得力があります。私は気楽な気分で文章の本が読みたいと思った時には、この本を読みます。辰濃和男さんは朝日新聞の「天声人語」のかつての担当者。残念ながら故人となられましたが、この人の書いた本に影響を受けた人は多いはず。例えば「削る」の章では、『書くことは、つねに削るという動詞をともなう作業です。もう削るところがない、これ以上はもったいなくて削れないと嘆きながらも、さらに10字、100字と削ってゆく。それが私の日々の仕事です』と書かれています。私も仕事上で文章を書く時は、厳しい字数制限の中で文章をまとめてきました。この文章も550字という制限を自分に課して書いています。文章が短いと主題がはっきりします。文章修行中の人は、是非この本を読んでみてください。(本文548字)

 

f:id:yaswatercolor:20190825074559j:plain

 

今日のマルちゃん

ラングトン水彩紙 中目 F8

鉛筆(HB)

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:1時間30分

 

涼しさと 無縁の風吹く 川面かな (岡山市北区後楽園外苑 水彩スケッチ)

2019年8月22日

 

今日は1ヶ月ぶりの水彩スケッチグループのスケッチ会です。8月猛暑の最中ですが、17名の参加がありました。皆さんとても熱心です。しかし私を含めて高齢者が多いので、無理は禁物です。今日のスケッチは岡山後楽園の外苑。岡山市内で一番絵になるスポットかもしれません。朝9時半に後楽園正門付近に集合して、午後1時まで約3時間のスケッチ。皆さん、ほとんどの人が旭川の川べりで木陰を選んでスケッチを始めました。

 

f:id:yaswatercolor:20190823090747j:plain

 

今日の岡山市は最高気温34℃。夕方から雨の予報で、朝からとても湿度の高い1日でした。首に巻いたタオルで顔の汗を拭いながらスケッチ。最初は暑さでなかなか集中できなくて、おまけに用意した筆ペンのインクがなかなか出なくて、かなりイライラしました。しかし、絵の具で色付を始めてから気分が乗ってきました。私はいつもそうですが、鉛筆の下書きと筆ペンの線書きの時は、これで大丈夫かなあ、と不安に駆られます。しかし、色をつけ始めるとすぐに「色のマジック」を感じて心躍ります。

 

f:id:yaswatercolor:20190823090818j:plain

 

今日私のスケッチを見に来てくれたのは、中国系のカップルとフランスの若い男性ばかりのグループ7、8人。中国系のカップルは、私のスケッチを何枚も写真に撮っていきました。フランスの若い人たちは、英語で絵をほめてくれました。こういう会話だと、ラジオ基礎英語レベルの英語で十分です。絵を前にして十分気持ちが通じ合います。

 

f:id:yaswatercolor:20190823090858j:plain

 

私はもう かれこれ6、7年は野外でスケッチしています。1年中日本各地でスケッチをしていて気がつくのは、絵を見に来てくれるのは外国人が多いこと。観光客や留学生が気軽に話しかけてきます。私も英語での会話は好きです。一方、日本人で絵を見て話しかけてくるのは、たいてい高齢者か小学生以下の子供。中・高校生、大学生、若い子育て世代、働き盛りの年代の人達は100%といっていいぐらい無関心か無関心を装って通り過ぎていきます。4年ほど前にスケッチツアーで南フランスに行ったのですが、その時一番感激したのは、通りで座って絵を描いていると若い人や子育て世代の人たちが英語やフランス語でどんどん話しかけて来ることでした(私はフランス語は分かりません)。絵を描いていると、私の後ろに最初は2,3人、そしてやがて5,6人、そして多い時は10人と、見物人が増えていくのです。そして笑顔と手振りで絵を褒めてくれます。フランスの1週間の旅が終わる頃になると、絵を見てくれる人がいないと絵を描く気がしないほどになりました。そしてフランス人が絵画(特にアマチュア絵画)への関心が強いことを印象づけられました。

 

マンガやアニメの文化で世界をリードする日本ですから、若い世代の絵に対する興味は世界のどの国より大きいと思うのに、外で絵を描いていて日本の若者から話しかけられることはまずありません。そして外でスケッチする若者に今まで会った記憶もありません。一般に日本ではフランス印象派の人気が絶大なのに、どうして皆、野外で絵を描いている人には無関心なんだろう。日本の若者は気恥ずかしかったり遠慮がちだったりということがあるかもしれません。しかし、ひょっとしたら彼らは自分のことで精一杯で、通りで描いている人の絵を立ち止まって一緒に楽しんだりする「心のゆとり」がないのではないか。そんなことを考えたりします。

 

今日は暑くて、結局2時間半で絵を描き終わりました。最後に全員で講評会をして、それから後楽園の前のレストランで昼食に岡山名物祭り寿司を食べて帰りました。今日はフランスの若者達との会話が印象に残りました。

 

f:id:yaswatercolor:20190823090935j:plain

 

ウオーターフォード水彩紙 ホワイト 中目 F6 2枚

青墨筆ペン

ウインザー・ニュートン固形水彩絵の具

所要時間:2時間30分

 

この作業 自分がスクラップに なる日まで

2019年8月21日

 

今日は家で購読している2つの新聞(朝日新聞と地方紙)の切り抜きをしました。週に1度1週間分をまとめて読み直して、気になる記事をカットします。新聞の切り抜きなど若い頃は忙しくてほとんどやらなかったのですが、退職後は、せっかく読んだ新聞をそのまま古新聞にだすのはもったいない気がして、家族が読んだ後、自分の気に入った記事を切り抜いて保存しています。

 

新聞切り抜きのコツは、(1)記事は市販のスクラップブックではなく普通のA4ノートに貼る、(2)記事はテーマ別でなく時系列で整理する、(3)気になる記事は分野を選ばず切り抜く、です。これまでの経験で、テーマ別に大中小のスクラップブックを何冊も揃えた時には長続きしませんでした。そもそも記事の分類は困難です。今はこの気軽なノート方式で3年ぐらい続いています。

 

新聞記事の切り抜きのメリットは、自分の関心ある分野が鮮明になってくること、そしていろいろな分野のデータが簡単に保存できることです。今はスキャナーでデータを取り込むのが主流かもしれませんが、記事を見返す時、ノートに張った記事がなんとも言えずいいのです。私の場合、はじめは地球温暖化などの環境問題の記事を切り抜いていました。その後、読書欄の本の紹介、料理、人の生き方の記事が増えました。地球温暖化の記事は暑い夏には結構多いのですが、寒くなるとぐんと減ります。地球温暖化に対する各国の対応が遅いので、関連するニュースもそれほど多くありません。一方、本や料理の記事は毎週出てきて、そのたびに読書欲、学習意欲、食欲がそそられます。実際に、本を借りたり買ったりする時、また料理をする時には、この新聞記事が参考になります。

 

ちなみに、今日切り抜いた記事は、セミの抜け殻が90体1100円でメルカリに出品されていたという話から始まる朝日新聞天声人語、地方紙の「納豆の効果的な食べ方」、環境問題を訴えてスウェーデンからアメリカまでヨットで大西洋横断に出た16歳の少女の記事(彼女は大量の二酸化炭素を排出する航空機には乗らないと宣言してこの行動。トイレはバケツだそうです。すごいやる気ですね・・・)、海外トップ大学に志望者増という地方紙の記事、アフリカの食料不足に日本の後押しで植えられた「奇跡の稲」が活躍しそうだという朝日新聞の記事、そして、朝日新聞「折々のことば」の「ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてきて仕方がない」という水木しげるの話。

 

スクラップノートの記事をゆっくり読みかえすと、その記事を書いた新聞記者の熱い思いがあらためてよく伝わってきます。

 

今日の絵は、お腹を出してご機嫌のマルちゃんです。それともマルちゃん、暑いだけなのかな??

 

f:id:yaswatercolor:20190821101753j:plain

 

ラングトン水彩紙 中目 F8

鉛筆(HB)

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:1時間30分